第7章 この想いに終止符を
ロー side
俺は何処で間違った?大切にしたいと思えば思う程、それは無情にも俺の手をすり抜けて行く…。
ーお兄さま!ー
(ラミ…。)
ー愛してるぜっ!ー
(コラさん…。)
俺は…また大切な人を守れなかった…。失うのが怖くてそんなもん作らねぇと決めたのに…俺はまた同じ過ちを…!
ーロー君。ー
「花子…?」
不意に花子の声が聞こえた気がして俺は立ち上がり部屋を出た。
ーーーーーー
何かに誘われる様に甲板に出ればそれはいつもと変わらず同じ風景。こんな当たり前な日常も花子はいつも楽しそうにしていた。
ー凄いね!私、船に乗ったの初めて!ー
お前がいるだけで変わらぬ日々も新鮮で色鮮やかに見えた。
ー見て、ロー君!初めて魚が釣れたよ!ー
お前が喜ぶと柄にも無く嬉しくなる俺がいた。
ー大好きだよ、ロー君。ー
「…花子?」
顔を上げれば柵の所に笑顔で振り返る花子の姿。俺は弾かれた様に駆け出し花子に手を伸ばす。
「花子っ!」
その小さな身体を抱き締め様としたがそこに花子の姿は無く、俺の腕は虚しく空を切った。
「…好きだ。」
床に膝を付き俺はポツリと呟いた。好きだ、愛している。想いが募っても伝えたいあいつはいない…。
(なぁ、戻って来いよ…。)
糞みてぇなプライドなんか捨てて嫌って言う程、言ってやるからよ…。
ー幸せになって欲しいから…。ー
お前がいなけりゃ意味ねぇだろ…!ぐっと歯を食い縛れば1羽の白い鳥が天高く舞い上がる。まるで花子が何処かに行っちまいそうで、思わずそれに手を伸ばす。
(止めろ…!あいつを…花子を連れていかないでくれっ…!)
なぁ、花子…。お前がいない世界は…こんなにも色褪せていたのか…?
(もう…あの頃には戻れねぇ…。)
お前がいない日常を…俺はもう忘れちまった…。