第7章 この想いに終止符を
ローはベットに腰掛け掌にあるネックレスをぼぉっと眺めていた。あれから貨物船を襲ったと言う海賊を見付け出したが、花子の姿は何処にも無かった。怒りに任せ船は潰したがローの心は晴れない。
「花子…。」
ポツリと呟いたローの声は弱々しく、ここ数日眠れていない彼の目元の隈は一層濃くなっている。今のローの姿を花子が見たら発狂して力ずくにでもベットに押し倒していただろう。しかし、そんな彼女は此処にはいない。
「キャプテン、俺です。」
「…入れ。」
扉を叩く音と共にペンギンの声が聞こえ部屋に招くと、ローの姿を見た彼は呆れた様な顔をする。
「酷い顔してますよ。また寝てないんですか?」
「…うるせぇ。」
悪態を付くローに苦笑いを浮かべるが彼の心境を思うとこれ以上何か言っても仕方が無いと話を切り換える。
「今のところ貨物船の生存者は見つからず…花子も見付かっていません…。」
「…そうか。」
あれから数日経っているが漂流者も0。おそらく花子は…。そう言いかけたが頭を振り最悪な結末をペンギンは振り払う。
「報告は以上です、では。」
「あぁ。」
それだけ伝えるとペンギンは静かに部屋を出ていった。
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ローの部屋からキッチンに戻って来たペンギンにクルー達は駆け寄った。
「ペンギン…キャプテンは?」
「ずっとあの調子だ…辛うじて飯を食ってくれているのが救いだな…。」
しんと静まり返る室内。こんな時、花子がいれば何を落ち込んでいるのかと笑い飛ばすだろう。彼女がいないだけでこんなにも静かで…火が消えた様に物悲しい…。
「ねぇ…花子にはもう会えないの?」
ポツリと悲しげなベポの声が響く。
「俺…嫌だよ…花子とまた昼寝もしたいし一緒にいたいっ!」
「それは…。」
皆同じ。軽い気持ちでやった自分達の行いがこんな結末になってしまい後悔が募るばかりだ。
「あの…。」
不意に扉が開きミラが不安そうな顔で中を覗き込む。彼女はまだ花子が消えた事を知らない。
「皆さんどうしたんですか?ローさんも部屋から出てこないし…花子さんは?」
花子を慕っていた彼女に今の状況を説明するのは余りにも酷だろう。そう思い誤魔化す様にクルー達は力無く笑顔を見せた。