第7章 この想いに終止符を
花子 side
ー花子。ー
あ…ロー君だ。
ーすまねぇ…。ー
どうしたの?そんな暗い顔して。
ー俺は…お前と一緒にいられねぇ。ー
ロー君の隣には可愛いあの子がいた。
「?!」
ガバリと勢いよく起き上がると全身から汗が噴き出してきた。荒い息を整えていると扉が開く音が聞こえる。
「おぉ!嬢ちゃん、目を覚ましたか!」
目を向ければそこにはガタイの良い浅黒い肌をした60代ぐらいの男の人が笑顔で入ってきた。
「驚いたぜ!朝、漁に出たら嬢ちゃんが海に浮かんでたからよ。」
ん?浮かんでたは違うか等と1人自問自答している男の人に頭が付いていかない。私は何でベットの上?…と言うか。
「ここは何処?貴方は誰?」
「ん?俺はジルだ!」
「山田花子です。」
よろしくなと乱暴に私の頭を撫でるジルさんは多分、良い人なんだろうなと思いました。…あれ?作文?
ーーーーーー
ジルさんの話によれば朝、息子さんと漁に出ているとプカプカと海に浮かぶ浮遊物を見付けたらしい。近付いてみるとそれは人の形をしていて。
「それが私だったって事ですね。」
「あぁ、だがそれだけじゃねぇ!」
浮いていると思ったそれは何かに乗っていてその何かと言うのが。
「こりゃビックリ!綺麗な真っ白な鯱だったのさ!」
「シャチ?」
シャチと言ったら私の知る限り1人しかいないけど、どうやらジルさんの言っているのは動物の鯱みたい。
「最初は嬢ちゃんが食われちまうと思い助けようとしたんだが、どうもそいつの様子が可笑しくてな。」
「可笑しい?」
「あぁ。嬢ちゃんを食う訳でも無くどちらかと言うと嬢ちゃんを守ってるみたいだった。」
その後、ジルさんは何とか鯱を説得して私を家に連れて帰り手当てをしてくれて今に至る。
「…鯱を説得なんて出来るんですね。」
「気になるとこはそこかっ?!」
「すみません…まだ、頭が混乱してて。」
まず何で私は海をさ迷ってたの?ロー君達と別れて…それから…。
「っ!」
「まだ本調子じゃねぇんだ!ゆっくり寝てな!」
ズキリと痛む頭を押さえるとジルさんは優しくベットに寝かせてくれた。乱暴だけど私の頭を撫でる手は温かくて、ホッとしました。…あれ?また作文?