第7章 この想いに終止符を
ロー side
俺は医務室の椅子に腰掛けイッカクの言葉を思い出す。
ーキャプテンに必要とされているのかって。ー
最初は利用価値のある女だと思った。何もしなくても金目の物を持ってくるし、よく働く奴だった。
ー大好きだよ、ロー君!ー
大事なもんを失うのはごめんだ。だから、あいつが俺の中で特別な存在になっていっても気付かない振りをした。それでも花子に対する俺の思いはどんどんデカくなっていった。
「…花子。」
ふと手紙に目を向ければ涙で滲んだ【大好きだった】の文字。なぁ…お前はどんな思いでこれを書いた?涙を流す程に俺と離れたく無かったんじゃねぇのかよっ…。
(…情けねぇ。)
俺がミラを優先する度に花子は寂しそうな顔をしていた。だが、それで良かったんだ。その顔を見る度に花子には自分しかいないのだと言う優越感が俺を支配した。
「それで捨てられりゃあ世話ねぇな…。」
くだらねぇ意地なんて張らずに正面切ってあいつと向き合っていたら…。
「キャプテン!大変です!」
「!どうした!」
勢いよく扉を開きペンギンが部屋に飛び込んできた。いつもはノックをするこいつがそれを忘れる程慌てると言う事は只事じゃねぇ。
「港で花子らしき女を見たと言う奴を見付けました。」
「!それで、花子は何処だ!?」
ペンギンによれば花子は港で開かれていた市場の貨物船に乗ったらしい。既に船は出港したらしいが今出ればまだ間に合う筈だ。
「よし、出航の準備をしろ!」
「待ってください!」
立ち上がる俺の腕をペンギンが掴む。何だと睨み付ける俺にペンギンはぐっと唇を噛んだ。
「…落ち着いて聞いてください。」
「早くしろ!」
こんな事してる間にあいつを見失っちまうだろう!苛立つ俺に一呼吸置くとペンギンは重い口を開く。
「花子が乗った貨物船なんですが…。」
なぁ、花子。これはお前を傷付けた俺への罰なのか?
「つい先刻…海賊に襲われたそうですっ!」
もう…お前の笑顔を見る事も叶わないのか…?