第2章 目が覚めると
花子 side
ー花子ちゃんは、本当に良い子だねぇ。ー
だって良い子にしてたら…私の事、悪く言わないでしょ?
ー私をお母さんだと思ってくれていいのよ?ー
どうして?私…良い子にしてたでしょ?
ー聞いたよ…はなちゃん…誰とでも寝るんだって?ー
褒められたくて頑張ったのに…。
ー花子の事、本当の娘の様に思ってるわ。ー
どうして…?
ーーーーーー
「…嫌な夢見た。」
久々に目覚めの悪い朝を迎えて気分は最悪。目を開ければ見慣れない天井。
(マスターの部屋とも違う…。)
思考を巡らせていると寝惚けた頭はだんだんと覚醒し出した。
(マスターの部屋に行って…目が覚めたら変な部屋にいて…。)
見るに耐える地獄絵図の後イケメンに会って、それからイッカクが撃たれそうになって…。
「てか、此処何処ぉっ?!…っいったぁっ?!」
勢いよく起き上がると左肩に激痛が走った。肩を押さえ身悶えているとバタバタと慌ただしい足音が近付いてくる。
「花子!どうしたの?!」
「何か奇声が聞こえたよ?!」
壊れんばかりに扉が開かれ踞る私にイッカクとベポ…だったかしら?2人が駆け寄る。
「おはよう…お2人さん…目覚めの良い朝だね…。」
「馬鹿言ってないで、寝てなっ!」
「後、今は夕方だよ?」
じゃあ、こんばんはかと再度2人に挨拶するとイッカクは私を乱暴にベットに横たわらせ、ベポはちゃんと返してくれた。挨拶は大切だぞ。
「思ってたより元気そうだな。」
「「キャプテン!」」
(あ…イケメンだ。)
呆れた顔で部屋に入ってくるイケメンにイッカクが縋る様に彼の服を掴む。
「キャプテ~ン!花子が死んじゃう~!」
「落ち着け…こんぐらいじゃ死なねぇよ。」
折角の綺麗な顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしているイッカクに、勝手に殺すなと言いたいが肩の痛みにそんな事を言う気力も無い。
「具合はどうだ?」
「…肩がめっちゃ痛いです。」
「熱は…引いたな。」
タトゥーの入った大きな手が私の額に乗せられる。ヒンヤリとした冷たさが心地よくて思わず顔を寄せるとパッと手を離されてしまった。
「花子…本当にごめんねぇ!」
今だ涙と鼻水でぐちゃぐちゃなイッカクに顔拭きなよと言うと、豪快に自分の服で拭っていた。