第7章 この想いに終止符を
ロー side
「すみません…ローさん…。」
部屋に戻った俺はベットに横たわるミラに食いもんを食わせ薬を飲ませる。
「私のせいで…本当は花子さんと一緒に過ごす筈だったのに…。」
申し訳無さそうに眉を下げるミラは喋るのも辛いのか顔を歪めている。頭に過るのは先程の花子の顔。
ーじゃあ、側にいてあげなよ。ー
突き放す様な、どうでも良さそうなそんな表情。あれは完全に拗ねてるな…。
「ロー君、ロー君、ロー君!」
「うるせぇな!病人がいるんだから静かにしろ!」
「ごめん!」
突然騒がしく部屋に入ってきた花子は、興奮した様に俺に詰め寄ってきた。
「あっ!ミラちゃん体調は大丈夫?」
「はい…お陰さまで…。」
「大丈夫じゃ無さそうだね…。」
弱々しいミラの姿に心配そうな顔をする花子。さっきのは見間違いかと言う程の変わり様に少し戸惑うが、何か用かと聞けば思い出した様に俺に向き直る。
「外出たい!」
「…出てるだろ。」
「違う、違う!町に出たいの!」
どうやらペンギンに港で3日市とか言う出店がある事を聞いたらしい。それが今日が最後らしいので見に行きたいと騒ぐ。
「…駄目だ。」
「何でよ!すぐそこだから大丈夫だよ!」
こいつを1人出歩かせるとまたふらふらとどっかに行きやがる。1人での外出の許可は出せねぇと言えばあからさまに不満そうな顔をした。
「…どうせロー君、動けないでしょ。」
「ぐっ…。」
棘のある声に言葉が詰まる。ちらりとミラを見れば辛そうにぐったりとしている。確かにこのままのこいつを放っては行けねぇ…。
「…分かった。」
「本当!?」
「あぁ。だが…「ありがとう、ロー君!大好きっ!」
俺が言い終わる前に花子は俺に飛び付くと溢れんばかりの笑顔を向ける。
「それじゃあ、準備してくるね!」
「行く前に声は掛けろよ。」
「はぁい!」
バタバタと騒がしく出ていく花子に呆れていると、ミラから笑い声が聞こえてきた。
「元気ですね、花子さん。」
「少しは大人しくしてて貰いたいんだが…。」
まぁ…あいつの笑顔が見れるんならたまには良いか…。