第7章 この想いに終止符を
花子 side
ー花子。ー
優しく私の名前を呼んでくれる貴方の声が好き。
ー仕方ねぇ奴だな。ー
私を見つめる貴方の笑顔が好き。
ー…美味い。ー
朝苦手だけど私のご飯を食べる為に起きてくれる貴方が好き。
ー何だ?構って欲しいのか?ー
ちょっと意地悪だけどそんな貴方も好き。
上げたらキリが無いくらい貴方の事が大好き。
だけど…。
ー…悪いな。ー
私だけのものじゃない貴方は…大嫌い…。
ーーーーーー
結局船で朝を迎えた私は朝食を済ませ部屋に戻った。朝、キッチンにロー君の姿は無くきっとミラちゃんのお世話で忙しいんだろう。
(暇だ…。)
イッカクもいないし時間を持て余している私はゴロゴロとベットに寝転んでいると扉を叩く音が聞こえた。
「花子、俺だ。」
「…どうぞ。」
名のらなくても分かる声に私は部屋へ招き入れると、案の定少し気まずそうな顔のロー君が入ってきた。
「ミラが目を覚ました。」
「そう…大丈夫?」
「典型的な二日酔いだ。今日は1日起きれねぇだろう…。」
そこまで言うと口籠るロー君。言わなくても分かる…ミラちゃんの側にいたいんだね…。
「じゃあ側にいてあげなよ。ミラちゃんもロー君がいた方が安心するだろうし。」
「…。」
少し眉間に皺を寄せ無言で私を見つめるロー君は溜め息を1つ漏らし部屋を出て行った。
(溜め息を付きたいのは私の方だよ…。)
ねぇ…ロー君。私、ロー君の事を大好きだよ。ずっと一緒にいたい…。でもね、それは貴方も私の事を好きでいてくれないと嫌だよ。
「ちょっと外の風に当たってこよう…。」
部屋の中にいてもマイナス思考になっちゃうだけだし…。私は重い身体を起こし部屋を出た。
ーーーーーー
甲板に出れば船番のペンギンが私に気付き手を振る。荒んだ心を押し殺し近付けば彼は変わらぬ笑顔を向けた。
「花子~!キャプテンはどうした?」
「ミラちゃんのお世話。」
私の言葉に苦笑いを浮かべると隣に座れと言われたので指定された場所に腰を下ろす。
「なんかごめんな…俺達のせいで…。」
「別にペンギン達のせいじゃないでしょ?」
彼女の世話をかって出たのはロー君の意思。別に彼等は関係ない。少し棘のある言い方にペンギンは私を元気付ける様にそっと頭を撫でた。