第6章 幸せと歯車
花子 side
「島だぁー!!」
あれから少しハプニングがあって島に着いたのは次の日の朝になった。久々の島と言う事で皆凄く嬉しそう。
「花子!島だよ!」
「本当だねぇ。」
「可愛い雌熊いるかな?」
いるわけねぇだろう!とツッコミを入れるシャチとペンギンに落ち込むベポ。その姿が可愛くて頭を撫でるとモコモコの毛が心地いい。
「でもベポが盗られるのやだなぁ~。」
「俺、雌の熊にしか興味無いよ?」
「フラれたっ…!」
「おい。」
分かってはいたけど悲しい…。今度は私が落ち込んでいるとロー君が不満そうな顔で、ムニッと私の頬を掴んだ。
「他の奴に色目を使うとは、俺だけじゃ不満か?」
「ひょーふん、はにふるほっ!」ロー君、何するのっ!
「何、言ってんのか分かんねぇよ。」
可笑しそうに笑いながらロー君は手を離してくれない。乙女の顔を掴むとは何事か!
「ローさん!島ですよ!」
キラキラとした笑顔でミラちゃんがロー君に駆け寄る。そんな彼女を見つめるロー君の顔は相変わらず優しい。
「私、こんな大きな島に来るの初めてです!もし良かったら一緒に回りませんか?」
「俺は…。」
ミラちゃんから誘われロー君は一瞬戸惑いちらりと私を見る。きっと私との約束を気にしてるんだろう。駄目ですかと眉を下げるミラちゃんにロー君はどう答えようか困っている様子だ。
「駄目だよ、ミラ。キャプテンは花子とデートするんだから!」
「イッカク。」
「あっ!そうですよね…ごめんなさい。私ったら気が付かず…。」
私と回ろうとミラちゃんの背中を押しシャチ達の所に連れていくイッカクは去り際に私に1つウィンクをする。
(ありがとう、イッカク!)
「ミラちゃんも嬉しそうだね。」
「…あぁ。」
ホッと安心した様な顔をするロー君。でもね…私は知ってるよ。
(本当はミラちゃんと回りたかったんだよね…。)
何処か残念そうな顔をするロー君に私は気付かない振りをした。