第6章 幸せと歯車
ロー side
ミラの姿を見た時、身体が凍り付いた。全身真っ白になった姿は珀鉛病に犯され苦しそうにしているラミと重なったからだ。
ーお兄さま…身体がいたいよ…。ー
あの時の俺は無力だった。病気に苦しむラミを只励ます事しか出来なかった。
「ローさん…いいですか?」
「…入れ。」
扉が開くとミラは申し訳無さそうに眉を下げ顔を覗かせる。ラミも母様に怒られた時こんな表情をしていたな。
「あの…ごめんなさい。私、何か役に立ちたくて…。」
「…。」
「でも全部上手くいかなくて…その度に花子さんがフォローしてくれてたんです…。」
こいつが何かしようとしているのは知っていた。その度に失敗しているのも。
ーわりぃ、ドジった!ー
あの人もいつもそうだった。何かしようとするとやらかし、その度俺が尻拭いをしていたな…。
「別にお前に何か期待してる訳じゃねぇよ。」
「…。」
あからさまに落ち込むミラの頭に俺は手を置いた。こいつがラミとは別人なのは分かっている。だが、どうしても重ねちまう。もし、あいつが生きていたらって。
「お前は…笑っていてくれればそれでいい。」
これは…俺のエゴだ。
ーーーーーー
花子 side
ーお前は…笑っていてくれればそれでいい。ー
(そっか…ロー君、ミラちゃんの事…。)
片付けが終わり後から沸々と怒りが込み上げてきたから、やっぱり一言物申そうとロー君の部屋を訪れれば中から聞こえる優しい声。
(考えれば分かっていた事じゃない…。)
彼女を見つめるロー君の眼差し…優しく触れる手…。初めから分かっていた事じゃない。
(結局…私は都合のいい女かぁ…。)
流石に15歳に手を出す訳にはいかないもんね…。それに…私の手前もあるだろうし…。
(辛いなぁ…。)
この先、2人の姿を見つめて私は耐えられるかな。でも…それでも…。
(ロー君の側にいたい…。)
彼から離れられない私は…やっぱり駄目な女なんだと思う…。
(花子?どうしたの?)
(ベポ~…!)ぎゅぅっ
(ん?)ガルチュー