第6章 幸せと歯車
花子は今非常に頭を抱えていた。その訳はひょんな事から船に乗る事になった少女ミラ。別に彼女はクルーな訳では無いのだから仕事をする必要は無いのだが、只乗せて貰っているだけじゃ申し訳無いと花子の仕事を手伝おうとしてくれた。…しかし、ここで問題が起きる。
「ごめんなさい…。」
「…大丈夫よ。」
そう彼女は凄くドジなのだ。掃除をすればバケツをひっくり返し、洗い物を頼めば食器を割り。洗濯を干せば縄に絡まる。一種の才能なのでは無いかと言う程何かやらかすのだ。今も料理を手伝おうとボウルに小麦粉を移そうとしたところ盛大に転び全身粉まみれとなっている。
「ここは私が片付けておくからミラちゃんはお風呂に入っておいで?」
「…ごめんなさい。」
正直、彼女が手伝わない方がスムーズにいくのだが、何か役に立ちたいと言うその気持ちは花子も分かるのでどうしても断れずにいた。頭の粉を花子が払って上げていると扉の開く音が聞こえ目を向ける。
「ロー君。」
「おい、これは…っ?!」
キッチンに入ってきたローは真っ白になった床に目を向け驚いた様に息を飲むとミラに慌てて駆け寄った。
「大丈夫かっ!?」
「えっ?!」
切羽詰まった様なローに花子もミラも困惑する。小麦粉を被っただけだと説明すると安堵の表情を見せ着替えて来いとミラをキッチンから追い出した。
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花子 side
全身真っ白になったミラちゃんを見た時、明らかにロー君の様子が可笑しかった。凄く辛そうな…小麦粉だと分かるとホッとした顔を見せる。
「あの…ロー君「おい。」
取り敢えずミラちゃんの事を怒らないで上げてと言おうとしたら、それより速くロー君が口を開いた。
「あいつは雑用をさせる為に乗せたんじゃねぇ。余計な事を押し付けるな。」
何よ、その言い方…。まるで私が無理矢理やらせてるみたいじゃない。
「…ごめんなさい。」
「…。」
言い返してやろうと思ったけど何だかイライラが募って何から言ったら良いか分からず謝る事しか出来なかった。ロー君もその後は何も言わず黙ってキッチンを出て行った。
「~っ!もうっ!」
何なのよ!やりたいって言ったから遣らせてるだけじゃないの!ここ最近ストレスが溜まり私の頭はぐちゃぐちゃだ。
「はぁ…片付けよ…。」