第6章 幸せと歯車
花子 side
私は今ロー君の部屋にいる。それだけ聞くと恋人との甘ぁ~いひとときを過ごしてる様に思えるけど…実際は…。
「違ぇだろ、ここはこうするんだ。」
「あっ!そっか!」
「…。」
ロー君がミラちゃんに勉強を教えている傍らで1人読書をしている。何故こうなったかと言うと、ロー君に部屋に呼ばれ久々に2人で過ごせると喜んだ。初めはロー君も甘やかしてくれていたげど、ミラちゃんが勉強を教えて欲しいとロー君を訪ねてきて今に至る。
「てことは~…こうなるんですね!」
「そうだ。」
(あ…。)
問題が正解したのかミラちゃんは嬉しそうにロー君を見上げると、ロー君もそれを褒めるように彼女の頭を撫でる。ミラちゃんを見つめるロー君の眼差しは凄く柔らかくて…彼女に触れる手が優しくて胸がぎゅっと締め付けられた。
「…私部屋に戻るね。」
「あ?」
「ごめんなさい!煩かったですか?」
立ち上がりそう伝えるとミラちゃんは申し訳無さそうに眉を下げる。大丈夫だと彼女に笑い掛け扉に向かう私にロー君が声を掛けた。
「花子。」
もしかしたら勉強会を切り上げて構ってくれるなかな?そんな期待を込めて振り返れば、それは見事に打ち砕かれた。
「珈琲とこいつのココア持ってきてくれるか?」
「…アイアイ。」
それだけ言うとロー君はまたノートに視線を戻す。ガックリと肩を落とし私は静かに部屋を出た。
「はぁ~…。」
扉を閉め思わず溜め息が溢れた。最後にロー君と2人っきりになったのはいつだろう?相変わらず夜は呼ばれるけど、そう言う事をするだけ。
「…寂しいなぁ。」
ーーーーーー
ロー side
「良かったんでしょうか…?」
「気にするな。」
部屋を出て行った花子を気にしてミラが眉を下げる。俺は先程の花子の顔を思い出し1人ほくそ笑む。期待に満ちた顔、その後あからさまに落ち込んだ姿。今、あいつの頭の中は俺の事しか無いんだろうな。
「くくくっ。」
「ローさん?」
1人笑う俺を不思議そうに見つめるミラ。見れば見る程似てやがる…。
ーお兄さま!ー
こいつを見付けた瞬間、俺は自分の目を疑った。余りにもラミに似ていたから。
「何でもねぇ、次はこっちを解いてみろ。」
「はぁい!」
さて、どうやってあいつを甘やかすか。