第6章 幸せと歯車
風呂を済ませ部屋に戻った花子とイッカクは同じベットに入り込む。2人で入るには少し狭いベット。しかし、それが何だか特別な感じがして2人は顔を見合せ笑い合う。
「良かったね、花子。」
「ん?」
「キャプテンと仲直り出来て。」
服を破かれ霰もない姿の花子を見た時、イッカクは初めて自分の船長を恨んだ。
ーキャプテン!花子に何をしたんですか!?ー
ー…お前には関係ねぇ。ー
突き放す様なその声にイッカクはローの胸倉を掴み彼を睨み付けた。
ー…何て顔、してんですか。ー
ー…。ー
イッカクはローの表情に一瞬言葉を失った。彼の顔は苛立ち、しかし花子を泣かせたと言う戸惑いの色が入り乱れていた。
「ごめんね、心配掛けて。」
「当たり前だよ。」
花子を初めて見た時、不思議な空気の少女だと思った。聞けば自分より年上で、確かに何処か大人びてて、でも目が離せない危うさがあった。気付けばイッカクはいつも彼女を目で追っていた。
「花子は私の大事な…友達なんだから。」
【友達】。その言葉にイッカクの胸がツキリと痛んだ。1番近くて…でも決して越える事の出来ない壁。
「私も…イッカクは大切な私の友達だよ。」
「じゃあ、私達相思相愛だね。」
そう言うと花子は嬉しそうに微笑んだ。この胸の内を打ち明ける事は無いだろう。もし打ち明けてしまえば、彼女はもう自分に微笑み掛けてくれない。それでも…。
(大好き…。)
自分を命懸けで守ってくれた花子。そんな彼女だからイッカクも命を懸けて守りたいと思った。
(だから…これぐらいは許してね。…キャプテン。)
気付けば穏やかな寝息を立てる花子の身体を抱き締め、イッカクはそっと彼女の額にキスをした。
(おはよう、花子。)
(おはよぉ~…イッカクのお陰で久々に熟睡出来た気がする。)色んな意味で…
(…。)ぎゅっ
(どうしたの?イッカク。)