第6章 幸せと歯車
花子 side
拝啓、父上様、母上様、お姉ちゃん。後、その旦那とちびっ子2名。お元気ですか?私は…。
「んやぁ…まっ…ろーくん…」
「はぁ…。」
甘い日々に胸やけしそうです!
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晴れてロー君とお付き合いが出来る様になってからと言うもの、彼のあからさまな変化に戸惑いを隠せない。前からちょっかいは掛けられていたけど、それが直接的で…隙有らばキスしてこようとしてくる。
「だめっ…今から洗濯物干さないと…!」
「そんなもん、シャチ辺りに任せとけ。」
私の言葉等お構い無しに唇に噛み付くロー君から離れようと必死に身体を押すけど彼の力に敵う筈が無い。イヤらしく私の腰を撫でる手にピクリと身体を震わせるも、このままでは駄目だと流されてしまいそうな気持ちを押し殺し彼を見上げる。
「ロー君、お願い。仕事はちゃんとしたいの…。」
「…。」
ロー君とお付き合い出来たからってそれに甘えたくない。任された仕事はちゃんとやり遂げたいのだと言う気持ちを込め見つめると、ロー君はぐっと一瞬言葉を詰まらせた後、深い…それは深~い溜め息を吐いた。
「…早く終わらせろよ。」
「うん!分かった!」
いつも強引だけどロー君はちゃんと分かってくれる。凄く不満そうだけど見ない振りして籠を持ち上げたら、ぐっと腕を引かれ触れるだけのキスをされた。
「その代わり…今夜は覚悟しろよ。」
「…。」
ニヤリと笑みを浮かべロー君は私の頭を撫でると何処かへ行ってしまった。
(何?!あのイケメン!?)
余裕のある色気漂うロー君の行動に私は振り回されっぱなしだ。
「はぁ~…好き。」
こんなの…私知らない!
「おぉ、花子?どうしたんだ?」
「…ペンギン。」
籠を抱えヘタり込んでいる私を奇妙なものを見る様な目でペンギンは見下ろす。
「また、キャプテン?」
「何なの?!あのイケメン!このままじゃ、私の心臓が持たないよ!?」
「…仲良さそうで何よりだ。」
両手で顔を覆いキャーっと騒ぐ私の頭を撫でるとひょいっと籠を持ち上げ歩き出す。
「えっ?いいよ、私が持つよ!」
「丁度、甲板に行く用事があるからついでだ。」
彼の然り気無い優しさにお礼を伝えると何故か微妙な顔をされた。
(…俺、結構本気だったんだけどなぁ。)