第36章 新たな仲間、ポジション変更?
花子 side
「いやぁー?!死ぬー?!」
「だからお前は中に入ってろっ!」
奇声を上げる私に対して真っ黒な雲から降り注ぐ黒い無数の針の雨を刀で弾くゾロ君の怒号が響く。カン十郎さんが裏切り者だと知ったルフィ君達は、捕らえられたモモの助君を取り返すべく彼を追う。
「てか、カン十郎さんめっちゃ絵上手くない?!」
「今、そんな事どうでもいいだろ!?」
いやいや良くないよ!だったら登象する時、あんな怖い思いしなくて良かったじゃん!?私、パンツ丸出しだったし!
「っ?!」
「危ねぇっ!?」
無数の針の雨が目の前に迫りくる。せめて顔だけは無傷でいたいと腕で顔を覆う私の目の前に大きな背中が現れた。
「大丈夫か、花子!」
「フランキーさんっ!」
キンッと針を弾きながらフランキーさんは不敵な笑みを浮かべ私を守る様に抱き上げた。ヤバッ!惚れるっ!
「さっすがフランキーさん!頼れる男は違うね!」
「振り落とされない様に掴まってろよ!」
「素敵っ!ありがとう、パピー!」
流石は麦わらの一味のお父さん!頼りになるわ!私は荒れ狂う海に放り出されない様に彼の逞しい首にしっかりとしがみ付いた。
「…。」
「てめっ、フランキー…!何て羨ましいっ…!」
「アーゥッ!男の嫉妬は醜いぜ!」
何かゾロ君とサンジ君がめっちゃ睨み付けてくるけど今は放っておこう。ふと空に目を向けるとモモの助君を乗せた鶴は鬼ヶ島の方に向かっていた。
「モモの助様ぁー!!」
モモの助君の事を心配する侍達の声。焦り慌てふためく彼等に向かってモモの助君の声が辺りに響き渡った。
「全員、拙者の事は気にするなぁー!それは敵の思う壺でござるー!拙者は1人で逃げてみせる故、カイドウとオロチを討ち果たしっ…!"ワノ国"を守ってほしいー!」
本当は怖い筈なのに…今すぐにでも助けて欲しい筈なのに…モモの助君は自分の事よりこの国の事を1番に思っている。モモの助君の健気な願いに侍達は涙を流している。
「モモ!お前はビビりのアホ餓鬼の癖に威張ってるだけのちょん髷チビなんだー!」
「わぁ…めっちゃ悪口…。」
大丈夫?侍達めっちゃ怒ってるけど。鬼ヶ島に辿り着く前にルフィ君、斬られない?
「何とか生き延びろ!必ず…助けに行くからぁー!」