第35章 決戦の時
花子 side
まったく!狂死郎さんも人が悪いなぁ!そうならそうと言ってくれれば、私もあんな事しなくて済んだのに!何だか腑に落ちなくて顔を顰めている私の肩に見覚えのあるタトゥーが刻まれた大きな手が乗る。
「…どう言う事か説明してもらおうか。」
「ろろろっ…ロー君…?」
ギギギッと壊れた玩具の様に上を向くとそこには凄く良い笑顔をしたロー君がいた。いつもならキュンっとする素敵なご尊顔も今は恐怖でしか無い。
「…身体を張ったとはどう言う事だ?」
「いやっ!それは言葉の綾と言うか…。」
「それにしても花子殿は男を手玉に取るのが実に上手い!ゆくゆくは花魁も夢ではないぞ!」
「…ほう。」
「ちょっと狂死郎さん、1回黙ってくれるかな!?」
余計な事言わんでいい!ややこしくなる!私の願いも虚しくロー君、そしてキッドが怖い顔で私を見下ろす。
「てめぇ、もしかしてオロチの奴と…!」
「んな訳ないでしょ!?気持ち悪いっ!ちょっとお座敷遊びやっただけよ!」
「…座敷遊びだと?」
募穴掘ったぁ!?私を抱き締めるキッドの腕、肩を掴むロー君の手にギリギリと力が籠もる。ダラダラと冷や汗を流しどう説明しようか四苦八苦している私をルフィ君が腕を伸ばし引き寄せる。
「何かよく分かんねぇけど、花子も頑張ったんだな!」
偉いぞっ!と私の頭を撫で太陽の様にキラキラと輝く笑顔を向けるルフィ君に胸がきゅんと高鳴り気付けば私は彼に飛び付いていた。
「ルフィ君っ!大好き!」
「おう!俺も好きだぞ!」
「「ふざけんなっ!?」」
こう言う所が人を引き付けるんだろうなぁと、前哨戦は自分達の勝利だと湧き上がる歓声を耳に顔を綻ばせていると、いきなりふわりと身体が宙に浮いた。
「ぃやあぁぁあぁー?!」
「おい!麦わら屋っ!」
「バカ猿!花子は置いてけっ!」
私の腰に腕を巻き付けルフィ君はサニー号に腕を伸ばした。胃がぐっと迫り上がる感覚に顔を顰め悲鳴を上げる私をよそに彼は甲板に飛び乗った。
「お前等、花子を頼んだぞ!」
「任せろ。」
ゾロ君を筆頭に麦わらの一味が大きく頷く。ニッと歯を見せ私の頭を撫でたルフィ君はまたロー君達の所に戻って行った。