第35章 決戦の時
花子 side
私の存在を確かめる様に抱き締めていたロー君がふと身体を離す。両手で私の頬を包み込み顔を近付ける彼の行動に駄目だと思いながらもそっと目を閉じる。
「んのっ…馬鹿がっ!」
「ぃったあっー?!」
でも次に来たのは柔らかなものでは無くゴンッと鈍い音と共におでこに激痛が走った。
「てめぇ…また呑気に攫われやがってっ!」
「何で頭突き?!ここは優しくちゅーするとこでしょ?!」
「それもするが、それとこれとは別だっ!」
「…するのかよ。」
「てめぇ、トラ男!花子ちゃんから離れろ!」
ロー君、頭、硬っ?!絶対、今覇気とか言うの使ったよね?!ジンジン痛む額を押さえ涙目でロー君を睨み付けると、彼はまた私の頬を包み込む。
「心配したんだぞ…。」
「ロー君…。」
ロー君の顔は凄く苦しそうでこんな顔をさせてしまった事に胸が締め付けられる。ゆっくりと近付く彼の顔にそっと目を閉じる私の腕を誰かの手が掴み、ぐいっと引き寄せられた。
「わっ?!」
「…邪魔すんな、麦わら屋!」
邪魔をされたロー君のお顔の何と怖い事…。私を胸に抱き込んだルフィ君は無言で腕の力を強くする。
「ルフィ君…?」
「…。」
何も言わないルフィ君に不安に思い彼の顔を覗き込むと勢い良く顔が近付きそれは盛大にキスをされた。
「んむっ?!」
「「「何しとんじゃあー!?」」」
「てめぇ、クソ猿!」
「…。」
それはもう…ぶちゅーっと…擦り付ける様なキスに麦わらの一味からは怒号が飛び、キッドが目を怒らせ怒鳴り散らしている。…ロー君の後ろに般若が見える。
「んっ…るふぃ、くんっ…!」
ピッタリと合わさる彼の唇からにゅるっと舌が侵入してきて、思わず身体を強張らせるとキッドが私をルフィ君から引き剥がした。
「何してんだっ!エロ猿!」
「したかったからした!」
「理由になってねぇよ!」
ぎゃいぎゃい私を挟んで喧嘩をしている3人に仲良かったんだと思いながらぼぉっと眺めていたら、いきなり顎を上に向けられキッドが噛み付く様なキスをしてきた。
(…キッド、ルフィ君と間接キスだね。)
(気持ち悪ぃ事言ってんじゃねぇっ!?)
(…。)
(ろーくん、くちびるこすらないで!)痛いっ!