第35章 決戦の時
編笠村の海岸に集まった麦わらの一味は明日の決戦の日に高ぶる感情を抑えられずにいる様子。
「ふぅ〜!カッコイイ〜!俺にビッタリだぁ〜!」
「俺ぁこっちにするか!いや…こっちも捨て難ぇ!」
兜を見つめ楽しそうに明日の装いをどれにするか悩んでいるウソップとフランキーの近くでは、ナミが"ワノ国"の地図を開き明日の集合場所を確認している。
「花子…大丈夫かな?」
ポツリと呟かれたチョッパーの言葉に先程まで賑やかだったその場がしんと静かになる。花子が拐われた事は皆知っている。
「酷い事されてねぇかな?泣いてねぇかな?」
「大丈夫だ、チョッパー。」
眉を下げ不安そうな顔をするチョッパーにサンジが優しく声をかける。もし、彼女の身に何かあったらカイドウ達は必ず何らかのアクションを起こしてくるだろう。しかし、それが無いと言う事は花子の身は安全であると。
「…しかし、あいつはよく拐われんな。ドフラミンゴの次はカイドウか。」
「それぐらい彼女が魅力的だって事だ。」
「ケッ。」
本当は誰よりも先に彼女を助けに行きたい筈なのに冷静を装う2人に他の者はふと笑みを零す。
「心配すんな、チョッパー!カイドウは俺が倒す!そして花子も助けるんだ!」
「…うんっ!」
真っ直ぐな強い瞳で見つめるルフィにチョッパーの顔に笑顔が戻った。俺も頑張るぞ!と彼の元気な声を皮切りにまた賑やかな空気が戻っていく。
「…何処へ行く?」
「…あぁ?こいつを少し慣らしてくる。」
「…逸れんなよ。」
焚き火の前で寝そべる自分の隣を横切るゾロにサンジが声をかけた。手に握られている刀を見つめそう口を開く彼にきゅっと口角を上げサンジが軽口を叩いた時。
「何事だっ?!」
「爆発っ!?」
「もしかしてっ…あそこって…!?」
大きな爆発音と共に黒煙が上がる方角にはサニー号がある。まさかの奇襲に一味は驚きを隠せない様子。
「ちきしょうっ!誰がこんな事をっ!」
手塩に掛けて作った可愛いサニー号に何かあったのでは無いかと、フランキーは誰よりも早く飛び出しサニー号の元へ走り出した。