第34章 え?暇なの?
兎丼で突如開催した相撲大会。次々と敵をルフィが倒していく内に日も落ち次の日に持ち越しとなった。
「就寝だ!寝ろぉー!」
「ちきしょーっ!また、明日だとぉー!?」
不完全燃焼で終わり悔しそうに歯を食い縛るルフィの怒号が響き渡る。力を使った上に食事も取らせてもらえず彼の腹の虫が鳴った。
「聞いてもいいか?麦わらの人。」
「何だ?」
「何故、カイドウと戦う?1度、九里で負けたと聞いた。」
ヒョウじいの問いに周りを見渡すと見張りの看守が聞き耳を立てている。邪魔だと顔を顰めるルフィがカッと目を見開いた瞬間、周りにいた看守達が次々と倒れ出した。
「っ?!」
覇王色の覇気を感じたのは初めてなのだろう。その凄まじい重圧にヒョウじいは目を見開き驚愕する。
「よし、これでいい。じじい、四皇を分かるか?」
「いいや…。」
「世界の海で皇帝と呼ばれる大海賊がいて…カイドウもその1人だ。」
九里でカイドウと戦ってルフィは改めて四皇の強さを思い知らされた。しかし、その4人の皇帝を倒さないと海賊王にはなれない。
「海賊王ぉ?…ロジャーの様な男かい?」
「ゴールド・ロジャーを知ってんのか?」
「随分昔にこの国に上陸した時にな。」
「あっ!錦えもんもそう言ってたなぁ…。」
ヒョウじいが海賊王の名前を知っている事にルフィは驚くが錦えもんの名前を出した途端、今度はヒョウじいが驚いた。何故、その名を知っているのかとルフィに詰め寄った時、2人の目の前にドロドロとしたものが飛び出してきた。
「「うわぁーっ?!」」
「何だ?!こりゃっ?!」
それは2人を覆い尽す勢いで広がっていく。しかし、2人に襲いかかる事なく中から人の顔の様なシルエットが浮かび上がってきた。
「ぅはあっ…!」
「えぇー?!お前はっ…ら…雷ぞう!?」
その顔とは赤鞘九人男の1人でもある雷ぞうだった。彼は何故かルフィ同様、兎丼に投獄されている濡れ髪のカリブーの体内に身を潜めていた。
(よぉ~!麦わらさん!)
(えぇー?!お前等どうなってんだぁー?!)
(何故、生きておるのだ?!)
(説明いたす…ヒョウ五郎殿。)