第5章 そばにいれたら
花子 side
無事にログ?が溜まりポーラータング号は次の島を目指す為、海を走る。あれからロー君とは話してない。
「はぁ~…。」
同じ船にいるんだから全くて訳じゃ無いけど何だか気まずくて、無意識に彼を避けてしまっている。
ーもう大丈夫だ。ー
ー…そっか。ー
ー思ったより傷の治りが早ぇ。この分だと傷痕も無くなるだろうよ。ー
「…。」
私はそっと左肩に手を添える。私とハートの海賊団との繋がり。ここにいる理由も無くなってしまった。
(これで…良かったのかも。)
これ以上深く入ってしまったら…きっと私は皆と離れたく無くなってしまう。勿論、今も別れるのは辛いけどこれで良かったのかもしれない。
「はぁ~…。」
「でけぇ溜め息だな。」
「…ペンギン。」
船の柵に凭れ掛かり項垂れているとペンギンが可笑しそうに笑いながら近付いてきた。
「仕事は?」
「今は特にやる事ねぇよ。」
「ふ~ん。」
私の隣で同じ様に柵に手を置く彼は何も言わず海を眺めている。
「キャプテンと何かあった?」
「…何でそう思うの?」
「お前とキャプテン最近一緒にいねぇし。」
それにキャプテンの機嫌が頗る悪いと困った顔をする。ロー君が不機嫌なのはいつもでしょ。
「別に…何にも無いよ。」
「じゃあ、何でそんな顔してんだよ。」
「どんな顔?」
「寂しそうな、悲しい顔してる。」
つんつんと自分の顔を指差すペンギンに情けなくなった。バレない様にしていたけど、思ったよりロー君との事がダメージが大きかったみたい。
「…寂しいなぁって思って。」
「キャプテンと一緒にいれない事が?」
「…違うよ。次の島に着いたら皆とお別れだから。」
「え?」
これも本当。ハートの皆は優しくて素性の分からない私を受け入れてくれた。皆といると私もこの海賊団の仲間なんだって勘違いしてしまう。
「キャプテンに頼んでみたら?」
「無理だよ。No の2文字でバッサリと斬られちゃう。」
「そんな事無いと思うけどなぁ~。」
ー抱いてやろうか?ー
きっとロー君は私が仲間じゃないからあんな事を言ったんだと思う。都合が良いから。それでも…。
(ロー君のそばに…いたいと思ってしまう。)