第4章 この苛立ちは君のせい
抵抗しなくなった花子の手を離し胸を揉む手とは逆の手で花子の太腿を撫で上げる。
「…で。」
「あ?」
ポツリと何かを呟いた花子に顔を寄せると何かがぶつかる音と共にローは額に鈍い痛みを感じた。
「くっ…てめっ…?!」
「馬鹿にしないでよ!」
額を押さえ一瞬怯んだローの肩を押し花子は身体を起き上がらせた。彼女の額は赤く色付き頭突きをされたのだと理解する。
「私はっ…!誰とでも寝る訳じゃないっ!ロー君と違って…っ!嫌われている相手に身体を許す程…私は強くないっ!」
「っ!」
こんなのいらない、とポケットから何かを取り出しローに投げ付けた。堪えきれずポロポロと涙を流し呆然としているローを押し退け、花子は部屋を出ていった。
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ロー side
ー嫌われている相手に身体を許す程…私は強くないっ!ー
涙を溢れさせ叫ぶ花子に何も言えなかった。あいつの事は嫌いじゃねぇ。だが、他の奴等にヘラヘラと笑顔を向ける花子がどうしようも無く腹が立つ。
「くそっ!」
他の奴に向ける笑顔ならいらねぇ。他の奴にを見つめる瞳なら映さなくていい。他の奴を抱き締める腕なら斬り落としてやる。全部、俺のもんだ。
「?…何だ?」
ベットに拳を叩き付けると固い何かにぶつかる。手を退ければそこには透き通ったグレーの石。さっき花子が投げ付けたのはこれだったのか。
ー見て見てロー君!今日はこんなの貰ったよ!ー
「…。」
花子が来てから調子が狂いっぱなしだ。あいつが来るまでこんなに心を乱される事は無かった。
(この苛立ちも…。)
全部、全部…花子のせいだ。
(花子?って、どうしたの?!その格好!?)
(うぅ~…!イッカクぅ~…!)
(何があったの!?)
(もうやだぁ~…!)