第34章 え?暇なの?
ヤマト side
パタンと日誌を閉じた花子は無言で俯いた。不思議に思い僕は彼女の顔を覗き込むと、ぎょっと驚き思わず声を上げてしまった。
「なっ…!どうしたんだっ?!」
「っ!」
花子は泣いていた。大きな瞳からはポロポロと涙が溢れ出していて、どうしたらいいか分からず僕は慌てる事しか出来なかった。
「ごめっ…大丈夫っ…。」
「大丈夫なものか!何処か痛いのか?」
涙を止めようと花子は目を拭うけど、それは次から次へと溢れ出してくる。こんな時、光月おでんならどうするんだ?
「本当に大丈夫…っ只…嬉しくて…。」
「嬉しい?」
「おでんさんが…お祖父ちゃんの事を大切に思ってくれてっ…。皆がっ…お祖父ちゃんの思いを受け止めてくれてっ…。」
そう言って嬉しそうに微笑んだ花子に、僕の胸がドクンッと跳ねた。慰めないといけないのに…なのにその涙が…笑顔が綺麗だと思ってしまった…。
「お祖父ちゃんとは誰の事だい?」
「光月史郎は…私のお祖父ちゃんなのっ…。」
「?!」
驚いた…。光月史郎に孫がいたなんて…。"ラフテル"に辿り着いた後の彼の事は分かっていなかった。途中で別れたのか…死んだのか…。
「じゃあ、花子は僕の弟だね!」
「え?」
「ずっと思ってたんだ!もし光月史郎の子孫がいたなら僕の兄弟にしたいと!」
光月おでんと光月史郎の関係性が僕は羨ましかった。そこまで分かり合える友がいることが。僕もいつかそんな人を見つけたいと思っていた!
「僕は君を待っていた!さぁ、僕の事は兄と呼んでくれ!」
「お…お兄ちゃん…?」
「何だい?弟よ!」
今日は何ていい日なんだ!嬉しくて花子を抱き締めると、苦しそうに身動いている。
「ヤ…ヤマトく「兄だ!」
「お兄ちゃん…私、一応女何だけど…後、多分君より年上…。」
申し訳なさそうに眉を下げる花子は確かに弟と呼ぶには可愛らしい…。
「年は関係ない!今日から花子は僕の妹だ!」
弟では無いのが残念だが可愛い妹ができ、僕の心は一気に華やいだ!
「もう…仕方のないお兄ちゃんね。」
「っ!」
柔らかく微笑んだ花子を見ると胸が大きく鼓動した。これは、妹が出来た喜びなのだろうか…?