第34章 え?暇なの?
花子 side
ヤマト君が見せてくれた航海日誌には海賊王との冒険の事、そしてお祖父ちゃんの事が記されていた。その文面からは2人は本当に仲が良かった事が見て取れる。
【20年以上先の未来に次の時代を担う強力な海賊たちが新世界に押し寄せてくる。もし…俺が死んだら…カイドウを倒せるのは…。】
空白の100年…Dの一族…古代兵器…。おでんさんはかつて、"ワノ国"が世界と繋がっていた事を知った。そして…ゴール・D・ロジャーは最後の島にこう名付けた。
「"ラフテル"…。」
航海日誌を読み終えた私はその余りの壮大な彼の人生に言葉を失った。この冒険にお祖父ちゃんも関わっていたなんて…。
「ん?」
ここで日誌は終わりかと思ったけど次のページを捲ると続きがあった。
「ヤマト君…これ…。」
「あぁ…それは僕も読めなかったんだ…。多分、古代文字だろう…。」
古代文字。それは光月家、そしてお祖父ちゃんにしか読み解く事の出来ない文字。
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【ここに記した事はわしの世迷い言だと思っていてくれ。】
【光月史郎とは何者なのか…。周りの者に尋ねてみても知る者はいなかった…。】
【だが…何故だ?何故、こんなにも懐かしく胸が苦しくなるのか…。】
日誌にはお祖父ちゃんに対する疑問、そして違和感が書き記されていた。何故、見覚えのない服があるのか…何故、こんなにも物悲しいのか…。
【まただ…またいる筈の無い誰かに語りかけようとしている。わしは…大切な何かを忘れておるのか?】
日に日に増す違和感。戸惑いを見せるおでんさんの心情を文字が表していた。次のページを捲った時、私は驚き目を見開いた。
【わしは…何て愚かな事をっ…!】
【すまぬっ…!史郎っ…!わしはっ…わしはお前の事をっ…!】
お祖父ちゃんを思い涙を流したのか文字は滲んでいた。忘れていた事の遣る瀬無さ…大切な友達を失った悲しさ…。おでんさんは、凄く苦しんでいたのね…。
【史郎は言っていた。何故、"ワノ国"はこんなにも閉鎖的なのかと。開国すれば、この国はもっと良くなるのにと…。】
【史郎…わしは誓う…!必ずやこの国を…お主の愛した"ワノ国"を開国してみせる!】
ーお前等ぁー!"ワノ国"を…開国しろぉー!ー
釜茹でになりながらそう叫んだおでんさん。彼はお祖父ちゃんの願いを…託したんだ…。