第34章 え?暇なの?
花子 side
(まさか、あのカイドウが子供の事であんなに乱れるとは…。)
毎度の事、落込上戸になるカイドウに何故そんな事になったのか聞いてみたら、どうやら息子さんが原因みたい。彼の息子は敵であったおでんさんに憧れを抱いていて、自分を光月おでんだと言っているらしい。
「確かに親心としては複雑よね〜…。」
自分が殺した男を息子が憧れを持つ何て親としてはヤキモキするだろうなぁ。
「だからって毎度毎度、二日酔いで呼び出すのは止めて欲しいよねぇ〜…ねぇ、コハク?」
『知らん。あんな奴、放っておけばいいんだ。』
海面から顔を覗かせるコハクに尋ねると、コハクは心底どうでも良さそうな顔をする。相変わらずドライだなぁ〜…。
「わぁっ!綺麗な鯱だね!」
「ん?」
カンっと下駄の音が聞こえ振り返ると、そこにはノンスリーブの着物に袴、そして銀色から毛先に向かってエメラルドグリーン、水色と珍しい髪色に赤い角を生やした高身長美女がいた。
「その鯱は君のペットかい?」
「うぅん、私の友達だよ。」
興味津々と言った感じで目を輝かせ近付いてくる美女は見た目よりも少し幼さを感じる。ここにいるって事はこの人も百獣海賊団の人なのかな?
「ねぇ、名前は何て言うんだい?」
「この子はコハクだよ。」
「違うよ、君の名前さ!僕はヤマト!」
あ、そっちなんだ。コハクの名前を尋ねられたと思った私は自分の名前を名乗る。…ん?ヤマト?
ーゥオロロ…何でヤマトは俺の言う事を聞いてくれねぇんだ…!ー
「もしかして…カイドウの息子の?」
「僕の事、知っているのかい?」
私の隣に腰を下ろしヤマトちゃんはキョトンと小首を傾げる。あれ?息子って男の子の事だよね?
「息子?娘じゃなくて?」
「僕は光月おでんなんだ!光月おでんは男だろ?だから僕は男になったんだ!」
えっへん!と得意げに胸を張ったヤマトちゃんのわたたに実った果実がぷるりと揺れる。何と言うか…。
(世の中…不平等…。)
どうやらこの世界は私には優しくない様だ…。
(えっと…ヤマト君って言ったら良いの?)
(おでんと呼んでくれ!)
(じゃあ、ヤマト君で…。)
(よろしく!花子!)