第34章 え?暇なの?
狂死郎が花子を気に入ったと思ったササキは、折角だから3人で飲もうと誘うが、大看板キングが現れ何やら慌てた様子で彼女を連れて行ってしまった。
「花子殿はどちらに行ったのでござる?」
「多分、カイドウさんとこだろ。昨日、坊っちゃんの事で大酒飲んでたからなぁ…。」
カイドウは二日酔いになると彼女を呼び出す。理由は、花子の作った薬が今までで1番効いたからだ。
「彼女は…新しい薬師か何かか?」
「いや…お前も知ってんだろ?打倒オロチの奴等に加担している海賊共を。」
赤鞘九人男の侍達が打倒オロチを掲げて動き出しているのは知っている。そして、彼等に協力者がいる事も。
「あいつはその海賊共の仲間だ。」
「花子殿が海賊?」
「その前はドフラミンゴの所にいたらしいから、あいつも只の女ではないだろうな。」
意外な花子の経歴に鳩が豆鉄砲をくらった様な顔をする狂死郎にササキは可笑しそうに声を上げた。
「くくっ…!お前の今の顔見たらあいつ、怒るだろうな!」
「…随分と、気を許しているのでござるな。」
何故、敵だと分かっているのに警戒しないのか狂死郎には分からなかった。
「あ〜…何つぅか…あいつ見てっと気が抜けるんだよなぁ…。」
きっと花子の事を思い出しているのだろう。そう言ったササキの顔はとても穏やかで、この男もこんな表情をするのかと狂死郎は驚愕した。
「そう言やぁ、カン十郎の奴があいつは光月史郎の孫だとか言ってたな。」
「それはっ、まことでござるか!?」
「うおっ?!何だよ、いきなり大声出して。」
驚き目を丸くするササキに構う事無く、狂死郎は彼の胸倉を掴み大きく揺さぶった。
「史郎どっ…彼女が光月史郎の孫と言うのはまことでござるかっ?!」
「なっ何だよ?!そいつの事知ってんのか?」
余りの取り乱し様に彼の肩を掴んだササキの声に狂死郎はハッと我に返り手を離した。
「お前がそんなに取り乱す程、面倒な奴なのか?」
「…あぁ。」
力無く微笑みを浮かべる狂死郎は何処か切なそうにポツリと呟いた。
「とても…厄介な奴だった…。」
(ゥオロロロッ…花子はまだかっ…!)
(元気そうじゃないですか?)笑ってるし
(…あれは二日酔いで苦しんでいるんだ。)
(…ややこしっ!)