第33章 ボスとのご対面
花子 side
「コハク…何で…。」
『お前が危険な目に合っているのに、黙っている事なんて出来る訳ないだろ。』
もう…ちっとも言う事聞いてくれないじゃん。出て来て欲しくなかったのに…。でも、コハクの優しさが嬉しくて海面から顔を出すコハクを私は力いっぱい抱き着いた。
『さぁ花子、ここから逃げよう!』
「…無理なのよ。」
私の手首には爆弾を仕込まれたブレスレットが嵌められている。ここから出ると起爆装置が発動し私の腕は吹っ飛んでしまう。その事を説明するとコハクの金色の瞳がギラリと鋭く光った。
『俺の花子に何て無体なっ!噛み殺してやるっ!』
「止めて止めて。」
ギラギラと怒りに燃えるコハクに睨まれカン十郎さんがビクッと肩を震わせる。ペー君達も何だか警戒する様にコハクを見つめていた。
『この事はあの小僧共は知っているのか?』
「多分。」
本当はメモを送ったけど聞こえたらマズいからその事は伏せておこう。スリスリと私に甘える様に顔を寄せるコハクは弱々しい声で鳴いた。
『忘れるな…俺はいつでもお前と共にいる』
「ありがとう。大好きだよ、コハク。」
『…あぁ、俺もお前の事が大好きだ。』
ちゅっと鼻先にキスを落とすとコハクもお返しとばかりに私の額に押し付けた。コハクは最後に威嚇する様にカイドウ達を睨み付けると海に帰って行った。
「ウオロロロロッ!面白れぇっ!」
突然、カイドウの笑い声が鼓膜を刺激する。彼はニヤリと笑みを浮かべると、まるで新しい玩具を見つけた子供の様な目で私を見据えた。
「本当は奴等への見せしめにお前を殺すつもりだったが…気が変わった!」
そんな事思ってたの?!怖っ!取り敢えず、私は利用価値があるとカイドウにも分かって貰えたし…。
「じゃあ…私、もう帰っていい?」
「良い訳ねぇだろ…!」
「…チッ。」
「舌打ちすんなっ!」
ちぇっ…この流れでここから逃げられるかと思ったのに!まぁ、首の皮1枚繋がっただけでも良しとするか…。
(ウオロロロロッ!宴の準備をしろ!)
(花子〜!良かったでありんすぅ〜!)むぎゅっ
(一時はどうなる事かと思ったが…。)
(…。)帰っちゃ駄目かなぁ…。