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貞操観念低めな子が色んな感情をぶつけられる

第33章 ボスとのご対面


花子 side


私はカイドウに言われるがまま荒波が打ち付ける岩場に連れて来られた。カン十郎さんが彼等の仲間であったと言う事はコハクの事も既に知られている。迷信等信じる筈の無いカイドウは、私が本当にスカイオルカを従えているのかその目で確かめたいみたい。

「早くスカイオルカを呼べ。」

「ちょっと押さないでよっ!」

後ろで待機しているカン十郎さんはいつも持っている大きな筆の柄で早くしろと、私の背を突き急かす。こんな荒波じゃコハクも海面に上がって来れるか分からない。

「コハク…。」

岩肌に膝を着き私は祈る様に両手を組んだ。コハクが現れなかったら私はどうなるのだろう…。用無しだと殺されるのかな?

(お願い…姿を見せないでっ…!)

コハクを呼び出したらきっとカイドウは利用価値があると、私に酷い事はしないだろう。でも…コハクが傷付くのは絶対に嫌っ!

「…出て来ねぇな。」

「やっぱり迷信か?」

「そんな筈はっ!?」

全く姿を見せないコハクに周りからは諦めの声が聞こえてくる。疑いの目を向けられたカン十郎さんは焦った様に私の髪を鷲掴んだ。

「痛っ!」

「貴様っ…!この期に及んで悪足掻きをする気かっ!?」

「おいっ!何もそこまでする必要ねぇだろっ!」

「てめぇっ、花子から手を離しやがれっ!」

ぐっと後ろに髪を引っ張られ上を向かされた痛みに顔が歪む。私を心配するペーくんとうるティちゃんの声を耳にニヤリとカン十郎さんに向かって笑みを浮かべた。

「私…呼べる何て一言も言ってないよ?」

「き…さまぁっ!?」

一瞬、目を見開いたカン十郎さんの顔がみるみる怒りで歪む。貴方の思い通り何てさせてあげない。例えここで殺されようとも。

『花子っ!』

「!」

「何だっ…この威圧感はっ…!?」

コハクの声が聞こえた瞬間、私の髪を掴むカン十郎さんの手が緩んだ。彼の顔を見上げると何故か額に汗を流しながら固まっている。周りを見渡すと他の人達も何か耐える様に顔を歪ませていた。

『花子っ!』

「コハク…?」

コハクに呼ばれ海に目を向けると、海面が盛り上がりその美しい白い巨体が飛び出した。

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