第33章 ボスとのご対面
花子 side
何で…貴方がここに…?だって…貴方も錦えもんさんと同じでカイドウを倒すのをずっと待ち望んでいた筈なのに…。
「光月史郎…確かおでんと一緒にロジャーの船に乗っていた男だったか?」
「はい、この娘はその孫にあたります。」
「カン十郎…さん…どうして…?」
何で、カイドウとそんなに親しげなの…?まるで、カイドウに忠誠を誓うかの様に頭を下げるカン十郎さんに頭が追い付いていけない。
「何を驚いている?よもや俺が打倒オロチ様など…本気で思っていたのか?」
ニタリと嫌な笑みを浮かべながらカン十郎さんは私にゆっくりと近付いて来た。
「俺の本当の名を教えてやろう。」
耳元で囁かれる彼の感情の無い冷たい声に、ゾクリと背筋が凍る…。
「俺の名は…黒炭カン十郎。」
ーーーーーー
「黒炭って…!」
待って…その名字って…。状況に付いていけず困惑する私をカン十郎さんはとても愉快そうに口元を緩ませた。
「ずっと…騙していたの…?」
「騙す…?違うな…俺は元々こちらの人間。お前達が勝手に仲間だと思い込んでいただけだ。」
そんなっ…だって彼は錦えもんさん達と同じで…!おでんさんやお祖父ちゃんの悲願を成し遂げる為にずっと必死で…!
「くくくっ…!お前は本当に史郎にそっくりだ。偽善者ぶって…その癖、人の心を弄ぶ…。」
顔を手で覆い笑い声を上げながら天を仰ぐ彼は本当に私の知るカン十郎さんなの…?
「…反吐が出る。」
指の間から私を睨み付ける彼の瞳には…抑えきれない程の怒りが溢れ出していて、私は言葉を発する事が出来なかった。
「おい…その辺にしとけ。」
(ペー君…。)
「…おや、この娘が心配ですかな?」
「そうじゃねぇ、本題はそこじゃねぇだろ。」
「ページワン殿はこの娘がいたくお気に入りの様子。…しかし、お気を付けなされ。頭は弱い様ですが腐っても史郎の孫…人を誑かすのはお手の物でしょう。」
何か失礼な事言われた気がするけど、この際どうでもいいわ。それにしても…彼とお祖父ちゃんの間に何があったの?何で…そんなに憎しみの籠もった目をしているの?
「それを…お忘れなき様。」
何で…そんな辛そうな顔をしているの…?