第33章 ボスとのご対面
花魁、小紫太夫。その美しさは"ワノ国"一と謳われ、余りの神々しさに直視出来ない者もいた絶世の美女。しかし、先日将軍オロチが開いた宴の席で彼女が殺され、花の都は悲しみに打ち拉がれていた。この男もその1人…。
「う"う"ぅ~…小紫ちゅわぁんっ…!」
「何で泣けんだよ…1度見かけただけだろ。」
「美女の死は世界の損失だっ!馬鹿っ!」
花魁道中で小紫を目にしたサンジは当然その美しさに魅了され、彼女の死を知り泣き崩れていた。話した事も無い、道で少し見かけただけで何故そこまで泣けるのかとウソップは呆れた顔で彼を見つめている。
「葬式は明日だそうだ。」
「デリカシーがねぇのか!?おめぇはっ!」
新聞を手に取り何気ない顔で伝えるローにサンジは目くじらを立て声を荒げる。一緒に宴に参加したロビンとブルックは大丈夫かと、携帯用のスマートタニシで連絡を取るかサンジにウソップが尋ねると、彼は神妙な面持ちでレイドスーツの缶を見つめていた。
「透明になれる能力…試してみなくては…女湯で…!」
「「はぁ~?」」
ページワンとの一戦でレイドスーツを使えば透明になれる事が分かった。透明人間になる事はサンジの幼い頃のもう1つの夢だった。しかし、"スケスケ"の実は既に他の者の物となっており、サンジの夢は儚く散った。
「あ…それに心配って言やトラ男、兎丼の記事はねぇのか?ルフィ太郎の。」
兎丼に投獄されたルフィ。そろそろ痺れを切らして暴れているのではないかと、ローに尋ねるもルフィの事は記事に載っておらず代わりにキッドが脱獄したと記されていた。
「どうやら兎丼でまた一波乱ありそうだな。」
「「…っ!」」
「…ところで…湯屋の場所を分かるか?」
「てめぇー!こんな時にぃー!」
「上の空だろっ!?さっきからぁー!」
女湯の事しか頭に無いサンジに堪忍袋の緒が切れたのか、フランキーとウソップが声を荒げ彼に飛びかかる。
「偵察に行かせたベポ達の帰りも遅い。」
花子の消息も未だ分からず、これ以上厄介な事にならなければいいと顔を顰めるローの肩に1羽の小鳥が止まった。足には紙が括り付けられており、不思議に思いながらもローはそれを外した。
「?!おい!遊んでる場合じゃねぇぞ!」
「「「あ?」」」
焦った様なローの声にサンジ達は首を傾げ彼に近付いた。