第33章 ボスとのご対面
カイドウに面会する事を伝えられた花子はどうするべきか頭を悩ませていた。多分、カイドウは自分とルフィ達との繋がりをまだ知らない筈。知っていたとしても彼等の事を吐く気はないが、状況は非常によろしくない。
(…逃げ出すって言ってもなぁ。)
以前、ここから抜け出そうとしたがあっさり捕まってしまった。何よりここは周りを荒れた海で囲まれており、飛び込んでコハクに助けて貰うにしてもリスクが大き過ぎる。
(何よりこれがあるから逃げ出せないし…。)
花子の手首には金のブレスレットが嵌められていた。それは面会する日取りが決まった時にカイドウから贈られたもの。もし、ここから逃げ出したり面会を拒絶すると爆発してしまう代物だ。
『ピチチッ』
「ふふっ、こんにちは。」
窓枠に腕を組みぼぉっと海を眺めている花子の前に1羽の小鳥が降り立った。そっと指を差し出すと小鳥は甘える様に彼女の指に擦り寄り、その可愛らしさに花子の顔が綻ぶ。
「私も…翼があったらいいのに…。」
もし自分何も自由に飛び回れる翼があったらここから抜け出して皆の元に戻れるのにと、物思いに耽る花子はハッと顔を上げ机にある紙に筆を走らせる。
「ねぇ、これをロー君に届けてくれる?」
小さく千切った紙の切れ端を小鳥の足に括り付けそう告げれば、小鳥は了解したと言う様にひと鳴きすると空高く飛び立っていった。
「お願いね…。」
小鳥が飛び去る姿をじっと見つめていると、襖が開く音が聞こえ振り返ったそこにはページワンとうるティの姿。
「…花子、時間だ。」
ついに、敵のボスとの対面。身体を強張らせる花子に2人は安心させる様、ふと顔を和らげ優しく声をかける。
「大丈夫だ。カイドウ様もお前を悪い様にはしない筈だ。」
「心配は無用でありんす!もし、花子に酷い事しようもんなら、あちきが守ってあげるでありんす!」
「ふふっ、心強いなぁ。」
顔を綻ばせ2人に連れられるまま、花子は部屋を出た。まさか、そこに裏切り者がいるとも知らずに…。
(…面会には大看板、そして飛び六砲もいるんだが。)
(じゃあ…あの2人もいるの?)
(もし嫌なら俺からカイドウ様に言うぞ?)
(大丈夫!むしろ引っ叩いてやりたいぐらいよ!)