第32章 デジャブ?
花子 side
「…本当にいいの?」
「…しつけぇぞ。」
流石にするのは痛いから口でしようかと尋ねたら全力で拒否られた。浴槽に浸かり私の頭に顎を乗せ後ろから抱き込むペー君の硬いモノがお尻に当たって…何だか気まずい…。
「…ごめん。」
「え…?」
「俺のせいでお前を傷付けた…守るって約束したのに…。」
私の肩を抱くペー君の腕は震えていた。彼が悪い訳じゃないのに自分を責めるペー君の手をぎゅっと握る。
「私ね…この国に来る前にお世話になっていた所があるの。」
「…ドフラミンゴの所か?」
「ううん…もっと前。その人、私の事を本当の娘みたいに思ってくれていて…私も本当の父親の様に思っていた。」
ーお前はもう少し物事を考えて行動しろっ!ー
それがジルさんの口癖だった。厳しくも優しく…いつも私の事を考えてくれていた。言動に気を付けろ、相手を見て行動しろって…。
「出会ったひと達が良い人ばかりだったから…だから甘く見ていたのかもしれない。」
ドフィの事も最初は怖かった。でも彼を知っていく内にそんな事は無くなって…だから今回も大丈夫だって自惚れていた。
「海賊は怖いものだって…分かっていた筈なのに…。」
ルフィ君達やロー君達を見ていたらそう思えなくて…今回もまた誰かが助けてくれるって勝手に期待して…だから、バチが当たったんだろう。
「俺が…怖いか?」
「え…?」
「お前を傷付けたあいつ等と…同じ海賊の俺が…嫌いか?」
ビックリする程の弱々しい声に後ろを振り向くと、今にも泣き出しそうなペー君の顔があった。
「ペー君は、馬鹿だなぁ~。」
「…。」
「確かに海賊は怖いし酷い人達だと再認識したけど…ペー君は違うでしょ?」
きっとペー君は私がルフィ君達と繋がりがある事を分かっている。分かった上で私を守ろうとしてくれた。
「こんな優しくて温かい海賊…嫌いになれるわけないよ。」
「っ!」
何かに耐える様に顔を歪めるとペー君は私をキツく抱き締めた。
(ただいまっ♡ぺーた…何してんだぁあぁぁっ?!)
(姉貴っ?!勝手に入ってくんなよっ?!)
(花子、てめぇっ!よくもあちきのぺーたんを…その身体の傷、どうしたんだぁっ?!)
(あはは~…。)何て説明しよう…