第32章 デジャブ?
花子 side
ペー君が変だ。どう変かと言うと最近、甘えたと言うか…暇さえあれば私の所に来てくれる。今も私をソファーに仰向けにさせ胸に顔を埋めながらのし掛かってきている。
「ペー君~…重い~。」
「ん~…。」
元々、大人しい方ではあるから何か話す訳でもない。只、私にくっ付いて甘えるだけ。別に嫌じゃ無いし可愛いから良いけど、突然の変化に正直戸惑う。
「今日はお仕事無いの?」
「ない。」
おぉ…返事短っ!言葉のキャッチボールしようよ…。
「じゃあ、今日はまったりだねぇ~。」
「そうだな。」
「また、あのお店のお団子食べたいねぇ~。」
「そうだな。」
「2人がお休みの時、食べよっかぁ~。」
「そうだな。」
「…お家帰り「だめ。」
おうっ…即答されてしまった…。しかもそこだけ返事早っ?!さっきまで、めっちゃ適当だったじゃん!?
「駄目だ…ここにいろ…。」
(可愛っ…!?)
ペー君は私をぎゅうっと抱き締め甘える様に頬を擦り寄せる。何だ、この可愛い生き物はっ…!?今、キュンッてしたよっ!
「でも…家開けっ放しで来ちゃったし、荷物もあるし、何より家賃が…。」
「それなら問題ねぇよ。」
「へ?」
最もな理由を付けてここから出ようとしたら、家は既に解約したし、荷物は全部この屋敷に持ってきたらしい。何、勝手な事してんの?!
「だから…お前はずっと俺と一緒だ。」
首筋に顔を埋めるペー君の角が顔の横にあって若干、恐怖っ…!ちゅっちゅっと数回私の首筋に吸い付いた後、ペー君はそっと私の頬を包み込んだ。
「逃がさねぇよ…。」
「っ!」
ドロリとした甘さを含む瞳に背筋がゾクッとした。私はこの目を知っている…。
ーお前は…俺のものだ。ー
(っ…ドフィ…。)
「俺から離れて行かないでくれ…。」
子供の様に縋るペー君に私は何も言えなかった。きっとペー君は愛に飢えている…。うるティちゃんから沢山の愛情を貰っているけど…多分それとは別の…。
(てか…私の周り、こんなんばっかりっ…!)
何で普通の人いないの?!まず、拐うの止めてっ!せめて、一言申そうよっ!?自棄糞になった私はペー君の頭を強く抱き締めた。