第32章 デジャブ?
花子が捕らえられて早4日。彼女がいる事を1ミリも疑問に思っていないうるティは、ご機嫌に彼女を後ろから抱き締め頬擦りしていた。
「花子~!聞いてほしいでありんすぅ~!ぺーたんがぁ~!」
後頭部に当たるうるティの豊かな胸の柔らかさを感じながら、今日もページワンの話をする彼女に耳を傾ける。
「…ん?花子、こんなの持っていたでありんすか?」
「ん?」
何を食べたらこんな色々と立派に成長するのかと、1人涙を飲んでいる花子の頭にうるティが尋ねる。彼女の視線の先には紫色の藤の簪。
「あぁ、これ?ぺー君から「ぺーたんからだとぉー!?」
「私、まだ言ってる途中…。」
ページワンから貰ったと花子の言葉を遮り、うるティはカッと目を見開き彼女の首に回している腕の力を強めた。
「ずるいっ!ずるいでありんすっ!あちきもぺーたんからプレゼント欲しいでありんすぅ~!」
「うるちゃ…っ苦しっ…!?」
ぎゅうっと首を締め上げられ顔を真っ青にする花子には気にも止めず、うるティは彼女の身体を左右に大きく揺さぶる。
「てめぇっ!よくも、あちきのぺーたんに貢がせやがったなぁー!?」
「言い掛かりだぁ…。」
身体を畳に引き倒しキッと睨み付けるうるティの顔に花子は苦笑いを浮かべる。その表情は本気で怒っていると言うよりかは、ヤキモチを妬いていると言った方が正しい。
「じゃあ、今度ペー君にお強請りしてみよっか。」
「でもぉ~…ぺーたん照れ屋だから素直にくれないでありんす~…。」
うるティの顔がショボンと力無く眉が下がり、花子は自分を押し倒す彼女の頬を優しく包み込んだ。
「じゃあ、私も一緒にお願いしてあげる。」
「花子も?」
「うん。それで私とペー君でうるティちゃんに似合う簪を選んであげるね。」
ふわりと柔らかく微笑む花子にうるティの頬に赤みが差す。大好きな2人が自分の為に簪を選んでくれると、嬉しさの余り花子を強く抱き締めた。
(嬉しいでありんすぅ~!)
(苦しっ…!)死ぬっ…!?
(あっ!でも、あちきも一緒に行くでありんす!)2人だけなんてずるいっ!
(…はいはい。)