第32章 デジャブ?
花子 side
とは言ったもののやっぱりルフィ君の事は心配になる。兎丼な囚人採掘場はとても過酷な労働を強いられ死ぬまでそこから出られないって聞くし…。
「ルフィ君…。」
心配したところでどうにも出来ない。私が助けに行っても逆に捕まるのが目に見えている。どんな困難も最後は必ず乗り越えて来たんだから大丈夫だよね…?
「…花子。」
「?!っペー君?!」
不意に声をかけられ驚いて顔を上げたらペー君が立っていた。いつからいたの?!
「元気がないな。」
「そんな事ないよ!」
あっぶなぁ~…全然気が付かなかった…。作業している手を止めペー君に駆け寄ると何だか様子がおかしい。
「いらっしゃい!今日はうるティちゃん、一緒じゃないんだね?」
「…だから、いつも一緒にいる訳じゃねぇよ。」
ムッと拗ねた様な顔をする彼に思わず笑みが溢れお茶を出そうと離れる私の手をペー君が掴んだ。
「…罪人が投獄された。」
「…みたいだねぇ~。」
出来るだけ自然に悟られない様に笑顔で答えるとペー君は苦しそうに顔を歪めた。
「…お前、何か知ってんじゃねぇのか?」
「…そんなの知る訳無いじゃない。」
ぎゅっと私の手を握る彼の手に力がこもる。思わず顔を顰めるけど、その力が緩む事はなかった。
「…ルフィ。」
「?!」
「お前、さっきそう呟いたよな?」
思わず顔を上げ私の目に映ったペー君の、怒っている様な…でも何処か歪んだ感情が入り交じった瞳に言葉を失う。
「お前…麦わらのルフィの仲間か?」
「ちがっ!私、そんな人知らない…!」
ここでバレてしまったら全てが水の泡になってしまう。ペー君の手を振り払おうと腕を引くけどそれは叶わず彼は大きな溜め息を吐いて項垂れた。
「お前…本当に気付いて無かったんだな…。」
「え…?」
そっと撫でられた私の髪に差してある彼から貰った簪がシャラッと揺れる。気付いてないって…?
「俺は百獣海賊団の飛び六胞の1人…カイドウ様の部下だ。」
「?!」
その言葉を最後に私の意識を失った…。
(安心しろ…お前は誰にも傷付けさせねぇ。)
(俺が…守ってやるよ。)
(この簪に誓って…。)