第4章 この苛立ちは君のせい
ロー side
(こんなもんか…。)
ベポ達を引き連れ不足した薬、機材を調達し船に戻る道中、俺は今朝の花子の事を思い出す。
ー何で下りちゃ駄目なの?!ー
ーお前を1人にするとまたフラフラどっかに行くだろう。ー
不満そうに頬を膨らませるも自分のした事を理解してんのか、しゅんと頭を垂れる姿が何とも面白い。
「くくっ。」
きっと帰ったら犬みてぇに駆け寄ってくる花子の姿が目に浮かぶ。
「あっ!キャプテン、お帰りなさい!」
「あぁ。」
甲板に上がり荷物を運んでおく様にベポ達に伝え辺りを見渡すと花子の姿が見当たらねぇ。
「おい、花子はどうした?」
「散歩したいってあっちの岩場の方まで行きましたよ。」
「…何だと?」
船番を任せていたバンダナに声を掛けるとすぐ側にある岩場を指差す。
「船から下ろすなと言っただろう。」
「いや、流石に閉じ込めておくのは可哀想ですよ…。」
あいつはまたフラフラと…。1つ溜め息を漏らし花子がいるであろう岩場に足を向けた。
ーーーーーー
歩けば船から程近い岩場。すると花子の声が聞こえてきた。
「あははっ!」
楽しそうな笑い声。気でも狂ったかと近付けば花子の隣には見知らぬ男。
「…。」
俺の中にまた黒く淀んだものが渦巻く。この感情が何かが分からねぇ。自分の所有物を盗られた独占欲か。だが、こんなにも俺を苛立たせるのは。
(っくそ!)
1度自分が誰のもんか分からせる必要があるな。そう思い花子に近付こうとした時、俺の中で何かが弾けた。
「!」
男が花子にキスしやがった。それは一瞬だが確かにあいつと男の顔が重なる。
(ふざけんじゃねぇぞっ!)
あいつは俺のもんだ。誰にも渡しやしねぇ。もし、俺から離れようってんなら…。
(2度と外に出れねぇ様に縛り付けてやる。)
ドロドロとした黒い感情が大きくなっていく。気付けば男は姿を消し花子は惚けた顔で奴のいた場所を見つめていた。
(…よぉ。)
(?!ロー君?帰って("ROOM")
(へ?)
("シャンブルズ")