第31章 おかえり…ただいま
サンジ side
思わず抱き締めた花子ちゃんからは洗い立てのシャンプーの香りがした。会いたくて仕方無かった彼女が今ここにいる…。
「…あのね、サンジ君。」
「何だい?」
「ロー君にね…好きだって言われたの。」
そう呟いた花子に俺の胸がドクリと大きく跳ねた。その先の言葉が聞きたくなくてぎゅっと花子ちゃんの身体を強く抱き締める。
「あの頃から気持ちは変わって無いって言われて…凄く嬉しかった…。」
「っ!」
そっと俺から身体を離し花子ちゃんは困った様に眉を下げ微笑む。そっか…君は、もう…。
「でもね…私、欲張りになっちゃったの。」
「え…?」
「ロー君に好きって言われて嬉しい筈なのに…サンジ君が結婚するって聞いた時…凄く寂しかった…。」
「それって…。」
俺の顔を両手で包み込むと花子ちゃんは申し訳なさそうな顔をして見つめる。
「勝手だよね…私はサンジ君の優しさを利用していたのに…そんな事思うなんて…。」
「それは俺がっ…!」
君の心の隙に付け込んだから…。少しでも花子ちゃんの心の拠り所になりたかったから…。
「ねぇ、花子ちゃん…まだトラ男の事は好きかい?」
「勿論、ロー君の事は好き。でも、あの頃と同じかと聞かれたら今は分からないの…。」
自分勝手でしょ?と力無く微笑む花子ちゃんの唇に俺はそっとキスをする。
「…俺にも、まだチャンスはあるのかな?」
「こんな私をまだ好きでいてくれるの?」
1度は諦めた恋…。俺の事なんか忘れて幸せになって欲しいと願ったのに、浮かぶのは花子ちゃんの事ばかり…。
「君の笑顔を1番近くで見つめていたい。」
大きく目を見開いた後、花子ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔が可愛くて…堪らなく愛しくて…。
「本当…サンジ君、損な性格してるよね…。」
「君の隣に少しでもいられるのなら。」
花子ちゃんの身体を抱き上げそっと布団に押し倒す。
「大好きだよ…。」
ピンク色の可愛らしい唇にキスをすれば、それに答える様に彼女も俺の首にそっと腕を回した。
(ん…お嫁さん、可愛かった?)
(そりゃもう!とっても可憐でプリティーだったよ!)
(…ふ~ん。)
(勿論、君が1番さ♡)くそ可愛っ