第31章 おかえり…ただいま
花子 side
(ゾロ君…大丈夫かなぁ?)
巷で噂になっていた辻斬りの容疑を掛けられたゾロ君。一時は奉行所まで連行された彼だけど上手く逃げ出せたみたい。でも晴れてゾロ君はお尋ね者になってしまい、決戦の日まで騒ぎを起こすなと言う錦えもんさんとの約束を早々に破ってしまった。
(ロー君、怒ってるだろうなぁ…。)
「花子?いるかしら?」
「おロビちゃん?どうしたの?」
烈火の如く怒り狂うロー君を思い浮かべていると、ロビンちゃんが訪ねて来てくれた。何でも最近出来たお蕎麦屋さんがあるらしい。一緒にどうかと言うお誘いに、そろそろお腹も空いてきたし何よりロビンちゃんとのお出かけが嬉しく、2つ返事で頷いた。
「わぁ~!凄い行列…。」
「ふふっ、とっても評判みたいよ。」
お蕎麦屋さんがある屋台には最後尾から先頭が見えない程の行列が出来ていた。女性が多いのが気になるけど、取り敢えず列に並ぼうとした私をロビンちゃんは屋台の方に引っ張っていく。
「おロビちゃん?列に並ばないと…。」
「いいから。」
ロビンちゃん程の売れっ子なら顔パスでいけるのかな?意味ありげに微笑む彼女にそんな事を思っているとやっと先頭まで辿り着いた。
「おぉ~!おロビ~!花子~!」
「やぁと来やがったな!」
屋台の隣に腰掛けお蕎麦を食べているウソップ君とフランキーさん。でも、私はそこにいる人物から目が離せなかった。
「サンジ…君…?」
「花子ちゃん…。」
屋台でお蕎麦を作っていたのは髷を結い黄色い着物に身を包んだサンジ君だった。彼はお客さんに声をかけ調理している手を止めると私に近付いてきた。
「本当に…サンジ君…?」
「今は蕎麦屋のサン五郎だけどね。…ごめんね、心配掛けて…。」
照れくさそうに頬を掻くサンジ君に目から涙が溢れ落ちる。私は人目も憚らず彼の胸に飛び込んだ。
「お帰りなさいっ…!」
ぎゅっと腕の力を込めるとお蕎麦の匂いに混じってサンジ君の香りを感じる。サンジ君だぁ…サンジ君が戻ってきた…!
「あぁっ…ただいまっ!」
私を強く抱き締める彼の腕はあの頃と同じ優しく、温かかった…。
(サンッ…わぁ~んっ…!)
(泣かないで…花子ちゃん…。)
(あいっ…会いたかったぁ~!)
(くそ可愛っ…!)ぎゅうっ