第31章 おかえり…ただいま
麦わらのルフィがビッグ・マムに喧嘩を売った事はカイドウの耳にも入り飛び六胞は鬼ヶ島に収集をかけられた。
「ビッグ・マムも大した事ないでありんすなぁ~!あんな弱小海賊にやられるなんてぇ~!」
「そこ噛み付くなよ…姉貴。」
「あぁ~ん!ぺーたん♡どうしたでありんすかぁ?」
「ぺーたん、言うなや…。」
案内された部屋に集まり飛び六胞の面々はカイドウに呼ばれるまで待機をしている。特に雑談する程親しい仲でも無いので、各々自由にしている様だ。
「そう言やお前とぺーたん、近頃よく花の都に行ってるらしいな。」
「あ?」
「何でも町娘の家に入り浸ってるとか。」
「あ"ぁ!?てめぇには関係ねぇだろっ!ササキィー!」
飛び六胞の1人、ササキが面白いものを見る様な目で2人を見つめる。その顔が癇に障ったのかうるティはいつもの調子で彼に噛み付き、そんな彼女をページワンは頭を抱え宥める。
「最近、花の都で評判の薬屋らしいが…ぺーたんのコレか?」
「けっ、餓鬼の色恋に首突っ込んで何が楽しいんだ。」
「あら、うるちゃんやページワンのお気に入りの子…気になるじゃない。」
ニヤニヤと小指を立てるササキに飛び六胞のフーズ・フーは騒ぐ2人に顔を顰め、ブラックマリアは興味津々といった様子で、ペロリと艶やかに唇を舐める。
「で?実際の所どうなの?」
「…別に。」
「まだ進展なしってか?」
「餓鬼だな。」
「…。」
やれやれと呆れた様子のササキとフーズ・フーにうるティがまた飛び掛かろうとした時、カイドウからお呼び出しがかかり、この話はここで打ち切りとなった。
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「ページワン。」
会合が終わり仕事に戻ろうと部屋を出ようとするページワンをブラックマリアが引き止める。
「さっきの話だけど。」
「…だから俺は別に。」
鬱陶しそうに顔を歪めるページワンに笑みを浮かべながらブラックマリアは彼の耳元でそっと囁いた。
「この国にはね…男が女に簪を贈る風習があるのよ。…特別な意味を込めてね。」
頑張ってと意味ありげにほくそ笑むとブラックマリアは部屋を出ていった。
(簪…か。)
ーありがとう!ー
嬉しそうに簪を受け取る花子の笑顔が頭に浮かぶも慌ててそれを掻き消しページワンも部屋を後にした。