第31章 おかえり…ただいま
タイヨウの海賊団、ジェルマ66、そして自分の命を犠牲にしたペドロ達のお陰でルフィ達は無事、ビッグ・マムの手から逃れる事が出来た。満身創痍の彼等はやっと訪れた穏やかな空気にその場に崩れ落ちた。
「腹…減った…。」
「私も~…。」
「私…もうここから1歩も動ける気がしません…。」
空腹を訴える腹の音。疲労しきった仲間を見つめサンジは煙草に火を着けると、ゆっくりその煙を吐き出した。
「なぁ…飯、作っていいか…?」
「飯…?」
「誰が…?」
「誰って…俺が…。」
「サンジの…!」
「「飯っー!?」」
ギラリと目を光らせルフィ達はまるで飢えた獣の様にサンジに飛び付く。ルフィ達の反応にサンジは困惑し目を白黒させる。
「食べるっ!」
「サンジの飯だぁー!」
「めしゃーっ!」
一体彼等に何があったのか。安全、美味い、しかもタダ!と涙を流し喜ぶ彼等をナミが不服そうな顔で睨み付けた。
「何かムカつくっ…!」
「お前等、俺を迎えにくるまでに何があったんだよ?」
「そんな事、どうでもいいだろっ!サンジー!早く飯ぃー!」
早く作れと急かすルフィに自然とサンジは笑みを溢した。戻りたいと夢にまで見た光景が今、目の前にあるのだから。
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「おら、作ったぞ!たらふく食いやがれ!」
「うひょおーっ!うんまそぉー!」
「あぁ…サンジさんのご飯…!私、感動の涙で前が見えませんっ!…私、涙出ないんですけど。ヨホホッ!」
山盛りの料理をルフィ達は貪る様に平らげていく。どんどん空になっていく皿を見つめサンジも満足そうな顔をしていた。
「あっ!ほーだ、はんじ!」
「何だ…てか、飲み込んでから話せよ。」
口いっぱいに料理を詰め込み話し出すルフィに頭を抱えるが、それも何だか懐かしく感じる。
「んぐっ…花子がな、また飯作ってくれ、待ってるって言ってたぞ!」
「花子ちゃんが?」
"ドレスローザ"では先に"ゾウ"に向かってしまった為、直接会うのは2年振りになる。
「…そんじゃ、早く"ワノ国"に向かわねぇとな。」
「おうっ!」
彼女に会ったら何て言おう。久し振りだね、会いたかったよ。相変わらず君は素敵なレディだ。
(ただいま…かな。)
おかえりと花の咲いた様な笑顔の花子を思い浮かべ、サンジは1人頬を緩ませた。