第30章 Let's 就活!
うるティ side
花子はとっても優しいでありんす!お腹が痛くなったあちきに薬を分けてくれて、遊びに来てもいつも笑顔で迎えてくれるでありんす!
ー私はうるティちゃんの事、好きだよ。ー
いつだったか…いつもの様に遊びに来たあちき達にお茶を淹れてくれた。人前でマスクを取る事を躊躇うあちき達を気遣って、花子はいつも見ない様にしてくれりんす。
ーあっつー?!ー
そんな時、あちきが手を滑らせてマスクにお茶を溢してしまったでありんす。お茶が染みたマスクはとぉっても熱かったでありんす!すると花子が濡れた手拭いを持ち慌てて駆け寄ってきたでありんす。
ー大丈夫でありんすっ!ー
ー何言ってんの!?顔に痕が残ったら大変だよ!ー
花子を跳ね除ける何てあちきには簡単な事…。でも、花子を傷付けたくなくて力を入れる事が出来なかったでありんす。無理矢理マスクを外された時、あちきはこの世の終わりだと思いんした。
(っ!嫌われるっ…!)
生まれつき裂けた口、ギザギザの鋭い歯。他は完璧なあちきにとって、この口を見られる事が何よりも耐えられない。
ーちょっと赤くなってるね…。今、薬を持ってくるから。ー
ー?!ー
でも、花子はそんな事には目もくれず薬を持って来ると火傷したあちきの顔を優しく手当てしてくれたでありんす。
ー…何も…思わないんす?ー
ーえっ?何が?ー
ーこんな口っ、気持ち悪いだろっ!?醜いく裂け化け物みたいに尖った歯なんてっ…!ー
化け物だと気味悪がれ、罵られ…。あちきとぺーたんは幼い頃から他人とは違ってたっ…!
ーん~…特に何も…。ー
ー嘘付くんじゃねぇっ!?ー
ーだって、うるティちゃんはうるティちゃんでしょ?ー
また、薬を塗り始める花子に胸が苦しくなった。初めてだった…この口を見ても怖がらずにいる奴が…優しく微笑んでくれる奴が…。
ーはい、終わり。マスク乾かすから貸して?ー
ー…花子。ー
もし、あちき達の正体を知ったら花子はどう思うかな?
ーこんな…あちきでも、仲良くしてくれりんす?ー
変わらず…笑いかけてくれるかな?
ー勿論よ!だってうるティちゃんは私のお友達だもの。ー
優しく微笑む花子にあちきの心が温かくなるのを感じんした…。