第30章 Let's 就活!
花子 side
薬草を磨り潰し薬を作っているとふと窓から見える空が目に入る。一段落着いたから休憩しようと肩を回し凝りを解す。
(ルフィ君達、もうこっちに向かってるのかな?)
彼等が"ゾウ"を旅立って大分経つ。怪我はしてないかな?ちゃんとご飯、食べてるかな?
(サンジ君、戻ってきてくれるかな…。)
手紙にはすぐ戻るとあったけど、彼の家族直々のお呼び出し。そう簡単には首を縦には振らないだろう。
(早く…会いたいなぁ…。)
会ったらまず何て言おう。会いたかったよ。"ドレスローザ"では助けに来てくれて、ありがとう。色んな言葉を思い付くけど…。
(お帰りなさい…かな。)
そう言ったらどんな顔をするかな?ただいまって笑顔を返してくれるかな?
「入るぞ。」
「…ロー君、それは入る前に言う言葉だよ。」
サンジ君の事を考えながらお茶を淹れていると、ロー君がガラッと入口の扉を滑らせ入ってきた。
「お茶飲む?」
「あぁ。後、下痢止めの薬はあるか?」
お茶を受け取り一口飲むロー君は凄く疲れた顔をしていた。心無しか隈は増え少し窶れている様な…。
「もしかして…「俺じゃねぇ。」
「あはは~、だよねぇ~。」
もし、ロー君が下痢になったのなら自分の能力で取り出す筈。それならベポ辺りが川の魚を食べちゃったのかな?
「錦が…当たってな。」
「そうなんだ。でも、何で能力を使わないの?」
「…もしもの時に体力を使う訳にはいかねぇだろ。」
成る程…様は無駄な体力を使いたく無いと言うわけね。相変わらず自分の仲間以外はドライだなぁと思いながら、下痢止めの入った袋を彼に渡した。
「はい、これ。1日2回朝と夜に飲んでね。」
「悪いな。」
お代を払おうとするロー君にいらないと断れば不服そうな顔をされた。流石に知り合いからお金は取れないよ…。
「じゃあ、お茶屋さん行こうよ!気になってる所があるの。」
「あぁ、行くか。」
優しく頭を撫でてくれるロー君の手が心地好くて顔を綻ばせていると、不意にちゅっとキスをされた。
(…いきなりしないでよ。)
(お前が可愛い顔をするのが悪い。)
(…。)くっ!イケメン…!
(出合茶屋ってのがあるらしいぞ。)行くか?