第30章 Let's 就活!
サンジ side
何故、お前等を助けただと?そんな事…決まってる。
ー風邪…引くなよ…。ー
「…父親が悲しむ。」
お前等がどうなろうと知った事じゃねぇ。だが、目の前にで殺され様としている実の家族を見捨てちまったら…あの人は怒るだろう。
「餓鬼の頃の過ぎ去った恨みに固執して…血を分けた実の家族の死を嘲笑う程度の小せぇ男になったのかと…呆れられる。あの人に顔向けできねぇ様な生き方は…俺はしねぇ!!」
ーたまにね…会いたいなぁと思うんだよ。ー
それに…そんな事をしたら彼女に顔向け出来ねぇ。どんな過去があろうと家族と引き離された彼女に比べれば…実の家族が同じ世界にいる俺は幸せなのかもしれねぇ。
「13年前、ジェルマから逃げ出したヴィンスモーク・サンジは海で1度死んだんだ!お前もそれを望んでた!」
ジャッジの胸倉を掴み俺は睨み付け叫んだ。今、俺の姿を見たらあの人は…彼女は悲しそうな顔をするかもしれねぇ。
「…だから認めろ!お前は俺の父親じゃねぇっ!ヴィンスモーク・ジャッジ!2度と俺達の前に現れるな!!」
だが、俺の大切な人を、愛する人を傷付けようってんなら…実の父親だろうと容赦はしねぇっ!
「よく分かった…約束しよう…。もうお前等にもイーストブルーにも近付かん…!」
「…彼女の島にもだぞ。」
「無論。それにビッグ・マムの後ろ楯を失った今、四皇のナワバリに手を出す程、私も馬鹿ではない。」
俺の手を払い退けるとジャッジはイチジ達を引き連れて正門に向かった。煙草に火を着ける俺にレイジュが近付いてくる。
「貴方がお父様に口答えするなんてね。」
「…昔の俺とは違ぇんだ。」
ふと顔を背ければレイジュは嬉しそうに微笑み俺の頭に手を置いた。その顔が何処か母親に似てて胸が苦しくなる。
「貴方が優しい人達に出会えて良かったわ。」
「…。」
「花子ちゃん…だったかしら?いつか会ってみたいわね。」
「ぜってぇ会わせねぇ。」
顔を顰め手を振り払う俺にレイジュはくすくすと可笑しそうに笑う。やっぱりこいつは苦手だ。冷たい素振りを見せるのに、ふとした時に優しさを見せる。
「門を開けろ!"ギャング"ベッジ!お前がシーザー・クラウンと空へ逃げるまで我々ジェルマが護衛を請け負う!」
正門に立つあいつ等の背中は…今だけは大きく頼もしく思えた。