第30章 Let's 就活!
花子 side
「はい、今月分です!」
「いつも、ありがとねぇ。また、頼むよ。」
にっこりと微笑む女将さんに私は代金を受け取り遊郭を後にした。去り際にうちで働かないかと言われたけどやんわり断っておいた。
(そんな事したらゾロ君とロー君に何言われるか…。)
正直、仕事が見付からなかったらロビンちゃんのお店で働かせて貰おうと考えていた。2人には却下されたけど、バレなきゃ大丈夫!なんて思ってたらロー君から凄い目で睨まれた。
ー言っておくが、内緒で働こうなんて考えるなよ。ー
ー何で分かったの?!ー
ー…やっぱりそのつもりだったか。ー
騙されたっ!?とロー君に頬を抓られる私を見つめるウソップ君とフランキーさんの顔は、今でも忘れない。こいつ、馬鹿だって言う顔だった。
「今日のご飯は何にしようかなぁ~。」
ゾロ君が買ってくれた道具のお陰で私の商売は軌道に乗っている。初めはロビンちゃんやウソップ君のお店から口コミで広がり、今ではちょっとした人気店。自分の稼ぎで長屋を借りれるまで成長した。
(今度、皆にお礼しよ~。)
「ぺーたん…あちき、お腹が痛いでありんすぅ~…。」
「…だから、食い過ぎるなって言っただろ。後、ぺーたん言うなや。」
皆に贈るプレゼントを考えていると、弱々しい女の人の声と呆れた様な男の人の声が聞こえた。何かあったのかと目を向ければ可愛らしい女の子がイケメン君の首を絞めていた。
「はぁっ!?そこは優しく抱っこするところだろー!?」
「それだけ元気なら大丈夫だろ…。」
(…確かに。)
イケメン君は慣れているのか鬱陶しそうな顔でされるがまま。しかし、本当に痛いのか女の子はお腹を押さえその場に座り込む。
「あの…大丈夫ですか?」
「あ"ぁん!?ぺーたん、ナンパしようなんて100億年早ぇんだよ!?シバくぞっ!」
「絡むなよ、姉貴…。」
どうやら2人は姉弟みたい。声をかけたら弟君をナンパしてきたのと勘違いしたのか、お姉ちゃんは可愛らしい顔を険しくし私を睨み付けた。
「腹痛なら…この薬をどうぞ。」
「…毒じゃねぇだろうな。」
仕事帰りで良かった。薬箱から腹痛に効く薬を差し出すと、疑う様な目でまた睨まれた。