第29章 俺の事なんて忘れて…
サンジ side
彼女との出会いは突然だった。初めは周りのレディ達と変わらなかったのに、彼女を知るうちにどんどん俺の中で特別になっていった。
ーサンジ君のご飯毎日食べれたら幸せだろうなぁ。ー
彼女が笑えばその何百倍も幸せになる。彼女が悲しい顔をすれば…俺の心が苦しくなる。
ー…ロー君っ!ー
あの日、何かに縋る様な彼女を見た時俺は自分の気持ちに気づいた。その瞳に俺だけを映して欲しい…俺だけにその笑顔を向けて欲しいと…。
「…今まさに、ルフィ達は狙われている。」
「ごめんなさいっ…私の母がこんなにも貴方を追い込んで…。」
「止めろ!プリンちゃんが謝る事じゃない!」
13年前、俺は地獄にいた。だが、逆を考えると13年間その地獄から離れられた。料理の腕を磨かせてくれた人、一緒に旅をした仲間。
(そして…心から愛する人に出会えた。)
出会った人、全員が俺の恩人だ。誰も傷付けずに去りたい…。
「俺の冒険はここで終わりだ…。」
せめて…最後に彼女の笑顔が見たかった。俺の思いにプリンちゃんはその大きな綺麗な瞳から涙を溢した。
「ごめんなさいっ…!私っ…サンジさんっ!…私との結婚は地獄にはさせませんよっ!」
「っ?!」
「例えっ、貴方が別の人を好きでいてもっ…!」
俺は…なんて愚かなんだ…!こんなにも俺の事を思ってくれている人がいるのに…俺は自分の事ばかりでっ!
ーオールブルー?ー
ーあぁ!この海の何処かに全ての生き物がいる幻の海。それを見付けるのが俺の夢なんだ!ー
ー凄く素敵!私も見てみたいなぁ!ー
つまらねぇ俺の話を彼女は嫌な顔1つせず、まるで自分の事の様にキラキラとした笑顔で聞いてくれた。
「プリンちゃん…君は俺の救いだ…。」
俺にとって彼女は光だった…。
「こんな俺で良ければ…。」
君の笑顔を守りたい。だから…俺の事なんて忘れて…。
「明日…結婚しよう。」
幸せになってくれ…。
(出来れば君を幸せにするのが俺でありたかった…。)
(君の笑顔を1番近くで見ていたかった…。)
(花子ちゃん…大好きだったよ…。)