第29章 俺の事なんて忘れて…
花子 side
「4956…4957…。」
「ねぇ、ゾロ君。」
「4958…あ?何だ?」
ポーラータング号の甲板で腕立てをしているゾロ君に声を掛けた。重りになれって言われて彼の背中に乗ってるけど…女の子に言う台詞じゃないよね?
「ルフィ君達、大丈夫かな?」
「4959…さぁな。」
「四皇の総本山だよ?見張りとか強い人も沢山いるんだよね?」
「4960…まぁ、一筋縄ではいかねぇだろうな。」
淡々と筋トレをやるゾロ君はさして心配している様な雰囲気は感じられない。それくらいルフィ君達の事を信頼しているんだろうけど…。
「…サンジ君、戻って来てくれるかな?」
「4961…さぁな、あのラブリン眉毛の事だ。案外乗り気だったりしてな。」
「それって、戻って来ないかもしれないって事?」
かもなと、どうでも良さそうに答えるゾロ君に少しムッとして彼の肩をペシペシ叩く。
「ねぇ!ゾロ君聞いてる?」
「496…だぁっ!うるせぇな!何回やったか分かんなくなっただろ!」
「だって、ゾロ君もサンジ君の事心配じゃないの?」
止めだと背中から下りる様に言われ立ち上がると、面倒臭そうに床に胡座をかいたゾロ君の膝の上に座らされた。
「あの馬鹿が決めた事だ。強いて言うなら【お世話になりました】の一言ぐらいは言うべきだがな。」
「…。」
「だが、あいつにも夢はある。半端な気持ちで海に出た訳でもねぇだろうよ。」
サンジ君の夢…それは全ての海の生き物が集まるって言う"オールブルー"を見つける事。その為に彼はゼフさんの所を離れ海に出た。
「…それにあの野郎しかルフィの胃袋を満足させる事出来ねぇしな。」
「…本当に素直じゃないね。」
確かにルフィ君のあの食欲に対抗出来るのはサンジ君しかいないだろう。何だかんだ言ってゾロ君も彼の事は頼りにしてるんだろうなぁ。
「サンジ君のご飯美味しいもんね!」
「…まぁ、食えなくはねぇ。」
何とも煮え切らない言い方をするゾロ君に思わず笑ってしまうと、それが気に入らなかったのか脇を擽ってきた。
「ひゃはっ!?ゾロ君っ、やめっ…ははっ!」
「うるせぇ!てめぇが生意気な口を利くからだろうが!」
それは君が素直じゃ無いからだよっ!
(ねぇ…サンジ君。皆、待ってるよ。)
だから…早く帰って来てね。