第29章 俺の事なんて忘れて…
サンジ side
「だいたいお前が海賊王になれるかどうかも疑わしいのが本音だよ。乗るなら勝ち馬を選ぶのが人情だ。」
俺を迎えに来てくれたルフィ達。だが、俺はお前等と一緒に行くわけにはいかねぇんだよ!
「俺は1度でもお前等の事を仲間とは思った事はねぇ。ずっと腹の中で見下してた。急な事で現実を受け入れがてぇだろ。体現してやるよ。構えろ!」
足に炎を纏わせる俺に対してルフィは構える事はしなかった。なぁ…頼むから俺の前から消えてくれよっ!
「何の真似だ?構えろよ…。」
「…お前とは戦わねぇ。」
「!?じゃあ消えろよ!」
「…それも断る!」
「っお前は!お前はいつも!我が儘ばっかりだ!」
ナミさんの制止の声にも耳を貸さず何度も俺の攻撃を受けてもルフィは立ち上がる。
「これでっ、終わりだっ!」
「もういい!止めてよっサンジ君!私達帰るから!」
「帰らねぇ!」
「"コンカッセ"!」
渾身の一撃を頭に叩き込むと覇気を纏ってねぇルフィはそのまま気を失い倒れ込んだ。何度もルフィの名を呼ぶナミさんの声に胸が痛む。
「ちょっと!サンジ!」
猫車に戻ろうと2人に背を向け歩き出すとナミさんから名を呼ばれ振り返った時、頬に衝撃が走った。
「さようなら!ごめんね、余計な事して。」
叩かれた頬より胸が痛むのは何故だ…?
「何が下級海賊だ!言いたくもねぇ言葉並べやがって!嘘付くんじゃねぇよ!こんなもんで俺を追い払えると思ってんのか!ふざけんな!俺のこと蹴るだけ蹴っても痛ぇのはお前だろ!」
猫車に乗り込み城に向かっていると意識を取り戻したルフィの叫び声が辺りに響き渡る。
(なぁ…ルフィ。お前は俺の夢を聞いても笑わずにいてくれたな。)
「花子がっ、言ってたんだっ!お前含めて仲間だって!誰1人欠けちゃ駄目なんだよっ!」
そんなお前だから…安心して花子ちゃんを任せられる…。
「旅はまだ途中だぞ!俺はここで待ってるからな!お前が戻って来ねぇなら、俺はここで餓死してやる!お前は俺の船のコックだから、俺はお前の作った飯しか食わねぇ!腹が減っても、槍が降ってもここを動かずお前を待ってる!」
俺なんかに構わず先に進めよ…お前は…。
「必ず戻ってこい!サンジ!お前がいねぇと…俺は海賊王になれねぇ!」
海賊王になる男なんだからよ…。