第29章 俺の事なんて忘れて…
ポーラータング号の女部屋。そこにロビン、イッカク、ミラ、花子は集まっていた。テーブルには紅茶やお菓子が並んでおり、どうやら4人は女子会をしている様子。
「で!本当のところ花子は誰が好きなの!?」
「えぇ~…。」
「ふふふっ、何だか楽しくなりそうね。」
「勿論、ローさんですよね!?」
イッカクとミラの余りの気迫に花子は身体を仰け反らせ、面白そうだとロビンはニコニコと紅茶を飲みながらその様子を眺めていた。
「いきなりどうしたの?」
「私は納得いかないんだよ!何でうちに戻って来てくれないのか!」
「確かにローさんや皆さんはクソみたいな最低な事をしやがりましたが!」
「…ミラちゃん、口悪いよ。」
「あら、その話詳しく聞かせて。」
可愛らしい顔からは想像出来ない言動に本当にこの2年で彼女に何があったのかと、花子はこのまま彼女をこの船に乗せていいのか真剣に悩む。花子とロー達の事を聞いたロビンは、その美しい顔をぐっと歪ませる。
「…最低ね。」
「花子がいなくなった時、本気であいつ等のちょん切ってやろうかと思ったよ!」
「今からでも遅くは無いんじゃない?」
「私もお手伝いします!」
「…。」
初めは同盟に反対だったイッカクも今ではロビンとも打ち解けた様子。ふっふっふっ!と悍ましい空気を纏い妖しい笑い声を上げる3人に、花子はハートの海賊団がオカマ海賊団になってしまうと口を開いた。
「その事はもういいよ。」
「じゃあ、何で戻って来てくれないの!?」
「…私が原因ですか?」
しゅんと眉を下げミラは悲しそうに花子を見つめる。彼女も薄々は感付いていた。ローが自分を構う度に花子が悲しそうにしていた事を。しかし、家族と引き離され不安な時に与えられた彼の優しさに彼女も甘えてしまっていた。
「それは違うよ?」
「でも…。」
「確かに最初は嫉妬しちゃったけど、ロー君の気持ちを考えると仕方なかったと思うし…。」
だからそんな顔しないでと、優しく微笑む花子にミラは安心した様にホッと顔を綻ばせた。
(で?実のところ誰が好きなの?)
(チョッパーさん!)ラブッ!
(…うちにはベポがいるのに?!)
(ふふっ、じゃあ必然的にうちの船に乗るのかしら?)