第4章 この苛立ちは君のせい
ロー side
花子を医務室まで運びベットの上に座らせた。だが、こいつは顔を俯かせ覗き込めば拗ねた表情をしてる。
「何、イジケてんだ。」
「…イジケて無いよ。」
イジケてんじゃねぇか。スンと顔を背ける花子に訳が分からず、怪我の具合を診るから脱げと言えば素直に従った。
「…これ、お前が巻いたのか?」
「ん?包帯?」
上着を脱ぎ剥き出しになった花子の肩は綺麗に包帯が巻かれていた。こいつは器用な方だが片腕ではここまでするのは難しい筈だ。
「マルコがやってくれたの。」
「…あぁ?」
花子の口から不死鳥屋の名前が出て苛立つ。…確かに奴も船医だったか。
「…奴とヤッたのか?」
「?!」
そう尋ねると花子は分かりやすく顔を赤らめる。その表情が更に俺を苛立たせた。その顔をあいつにも見せたのか?この身体を俺以外に触らせたのか?
「…ロー君、直接的過ぎ。」
「隠したって仕方無ぇだろ。」
「…ロー君も昨日はお楽しみだったみたいね。」
「あ?」
「香水…付いてるよ。」
そう言や昨日買った女、やたら香水の匂いがキツかったな。
「何だ?妬いたのか?」
「馬っ…鹿言わないで!」
顎に指を添え上を向かせれば花子はあからさまに動揺を見せる。
「何ならお前も抱いてやろうか?」
「?!」
花子の行動に気を良くした俺は驚き目を見開く花子の言葉を待つ。
「…いいよ。」
(…落ちた。)
そう思いそっと顔を近付ける俺に花子はまた口を開く。
「ロー君がそうしたいなら…いいよ。」
「!」
力無く微笑む花子に俺は息を詰まらせる。諦めた様な、どうでも良さそうな…そんな表情。
「…冗談だ。そんな面倒臭ぇ事する訳ねぇだろ。」
「…。」
今のお前を抱いてもつまんねぇ。俺だけだと縋るお前が見てぇんだ。
「俺はお前を抱かねぇよ。」
「…そっか。」
傷付いた様な花子の顔。そうだ…そうやって俺の事だけを考えればいい。
ー苛めてばかりじゃあ…逃げちまうよぃ。ー
(逃がす訳ねぇだろ。)
こいつの中に俺を刻み付けてやるよ。