第29章 俺の事なんて忘れて…
フランキー side
俺等を家族みたいだと言った時の花子は穏やかだったが、何処か羨ましそうな…寂しそうな顔をしていた。そう言やぁ…あいつにも元々家族がいたんだよな。いきなり知らねぇ場所に連れてかれて寂しい思いをしてたんだろう。
「ロボ屋。」
「あん?どうした、トラ男。」
花子の言葉を思い出してっとトラ男が近付いてきた。こいつが俺に話し掛けるなんて珍しい事もあるもんだ。
「…花子の事は礼を言う。」
(…成る程な。)
トラ男が言ってんのは俺が花子に作った車椅子の事だろう。わざわざそんだけの為に礼を言いにくるたぁ、相当あいつに惚れ込んでんな。
「だが…あんま余計なもんを作るな。」
「…どう言うこった?」
あれは花子が少しでも1人で行動出来る様に作ったもんだ。花子だって嬉しそうにしてた。好きな女が喜ぶなら良いじゃねぇか。
「勘違いすんな。俺はあいつが今のままで良いなんて思ってねぇ。」
ロビン達と話す花子を見つめるトラ男は見た事ねぇぐらい優しい目をしていた。だったら何が不満なんだ?
「あいつが必要とするのは…俺だけでいい。」
正直、その言葉を聞いた時はドン引きしたぜ…。こいつは、花子を自分無しじゃ生きられねぇ様にしようとしてんだからな。
「…程々にしとけよ。」
「別に何もしねぇよ。」
いや、既にそのギラ付いた目付きが怖ぇんだよ!?悪どい笑みを浮かべたトラ男はそのまま花子の方に足を進める。
(…花子も厄介な奴に目を付けられたな。)
アニキ心としちゃあ、花子が幸せなら俺ぁそれで構わねぇが…。
ー麦わらの一味って1つの家族みたいだね。ー
あんな顔で言われたら俺等の仲間に入れたくなるもんよ!第一ルフィの奴が手離したりしねぇだろうしな。
(…他のもん作ってやるか。)
可愛い長女の為に早く歩けるもん考えとくか!
(あっ!ロー君、聞いて!ロビンちゃんが今日リハビリ手伝ってくれたんだよ!)
(…チッ。)
(舌打ち?!)何で?!
(…。)頑張れよ…