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貞操観念低めな子が色んな感情をぶつけられる

第28章 欲張りなあの子


ゾロ side


ったく、錦の奴…逸れるなって言ったのに、言った側から迷子になりやがって!…それにしてもここは何処だ?周りを見渡してもあるのは、木ばっかだ。

「ほら~、頑張ってぇ~!」

楽しげに弾む花子の声が聞こえその方に行ってみると、ミンクの餓鬼と花子。そしてペドロがいた。ペドロを追い掛けている餓鬼共を花子は柔らかい顔で見つめている。

「…っ。」

まただ…花子を見ると何故か心臓が大きく脈打つ。あいつが楽しそうに笑ってると、不思議と穏やかな気持ちになる。

「花子~!」

「わっ!?」

(危ねぇっ!)

ミンクの餓鬼が花子に飛び付いた。突然の事でバランスを崩した花子の身体は後ろに倒れそうになり、俺が反射的に飛び出そうとした時。

「っ、大丈夫か?」

「ありがとう、ペドロさん。」

「花子は我々よりひ弱なのだから、いきなり突っ込んだら危ないだろ。」

「…ひ弱。」

倒れる寸での所でペドロが花子の身体を支えた。背中に手を回し抱き込む様な姿にモヤッと俺の胸に靄がかかる。

「花子…ごめんね…。」

「大丈夫だよ~!今度からはもう少しゆっくりとね。」

しゅんと耳を垂れ落ち込む餓鬼に花子は優しく微笑み頭を撫でた。そんな2人を見つめているペドロも心なしか穏やかな表情を浮かべていて、まるで本当の家族の様に見えた。

「…チッ!」

何だ?さっきまでとは違い胸の中にドロドロとした不快な感情が渦巻く。訳の分からねぇ感情に俺は舌打ちを溢し花子達に近付いた。

「何してんだ?」

「ゾロ君!どうしたの?迷子?」

「違ぇよっ!?」

こいつは人の事を何だと思ってやがんだ!?迷子か?と、決め付けてきやがった花子にイラッとしたが、不思議とさっきの不快な感情がスッと無くなっていった。

「お前は何してたんだ?」

「この子達が遊びに誘ってくれたからお話したりしてたの~。」

ガルチューと餓鬼と頬を擦り寄せ合う花子に俺の胸に何かが刺さった。


(…で?おめぇは何してんだよ。)

(花子がもし移動したいのなら手を貸そうと思っていたのだが…その必要は無い様だな。)

(ペドロさん、イケメンっ…!)好きっ…!

(おいっ!)

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