第4章 この苛立ちは君のせい
マルコ side
「ははっ!可笑しな女だよぃ!」
「?」
まさか、あんなに必死になってたのが俺の為とはな!大笑いする俺に花子は不思議そうな顔で首を傾げる。
(あぁ…この顔だ…。)
子供みてぇに純粋かと思えば息を飲む程の色香を醸し出す。本当に予測出来ねぇ女だよぃ。
ー優しいね~…。ー
あの笑顔を見た時、こいつが欲しいと思った。ドロドロに甘やかしてあの笑顔を俺だけの物にしたい、だが、散々泣かせ俺だけだと追い縋らせたい。
「なぁ、花子。」
「ん?」
あぁ…こいつを閉じ込めて俺無しじゃ生きれねぇ様にしたい。
「俺ん所に来る気はねぇか?」
「へ?…ってわぁーっ?!」
「危ないねぃ。」
「チッ!」
「ロー君!当たる!私に!」
「そんなヘマはしねぇ。」
大太刀を振り下ろし俺を睨み付けるルーキー、トラファルガー・ロー。多分、こいつが花子の好きな奴だろうよ。
(気に食わねぇな…。)
欲しい癖に手を出さず花子から来るのを待ってるこいつが。そんな余裕をぶっこいてっと。
(俺が掻っ攫っちまうぜ。)
ーーーーーー
まさに一触即発の両者。ピリ付く空気を破ったのはマルコだった。
「まっ!今は保留にしといてやるよ。流石に若い芽を摘むのは気が引ける。」
「…言ってくれんじゃねぇか。」
しかし、その事はローが1番分かっていた。今のハートの海賊団が束になってもマルコに勝てるかどうか。
「マルコ…行っちゃうの?」
「名残惜しいがな。…これやるよぃ。」
しゃがみ込みポケットから取り出した紙を花子に差し出す。
「紙?」
「ビブルカードってんだ。これが示す先に俺がいる。」
会いたくなったらいつでも来いと。
「じゃあ、これを持ってればいつでもマルコに会えるね!」
「っ!」
キラキラと目を輝かせ嬉しそうな顔をする花子にマルコはうっとたじろぐ。
「…トラファルガー。やっぱこいつ連れて帰っていいかよぃ?」
「…。」
ぐっと顔を顰めるローに、そう睨むなと戯けるマルコの目は本気だった。
「じゃあな、花子。」
「んンッ?!」
別れ際あろうことかマルコは花子にキスをした。無言で鬼哭を振り下ろしたローに勝ち誇った笑みを浮かべ彼は船から飛び降りた。